ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

しろありNo.164

Termite Journal 2015.7 No.164 39研究トピックスResearch Topicsシロアリ食害材に打ち込まれた木ねじのせん断耐力の評価 大分大学大学院工学研究科 大分大学工学部福祉環境工学科 建築コース 毛利 悠平1. はじめに 木質構造物を長期間利用するには, その安全確保のために構造性能の把握が重要であり, 特に進行速度の速い生物劣化による木材の損傷と残存耐力の評価が必要となる。そのため, 生物劣化を受けた木材や接合部の非破壊による強度特性の評価方法の確立が急がれており, いくつかの研究たとえば1)がおこなわれている。 本研究では, 生物劣化を診断する機器と木材の残存強度との関係を明らかにすることで, 生物劣化の程度を評価し安心安全な構造性能の確保を目指している。そこで, 本報では, シロアリによる食害を受けた木ねじ接合部の一面せん断試験を実施したので, その結果について報告する。2. 試験概要2.1 試験体概要 図1に試験体形状及び寸法, 表1に試験体リストを示す。試験体はトドマツの丸太とオウシュウトウヒの製材より50×50×200mmの材を切り出し, 厚さ3.2mmの鋼板(Zマーク短ざく金物を加工)を長さ45mmの木ねじで留め付けたものである。なお, 木ねじは木表から木裏に向けて留め付けた。食害のない試験体をコントロール試験体, シロアリによる食害を進行させた試験体を食害試験体とした。2.2 シロアリによる食害操作 イエシロアリ(Coptotermes formosanus)による食害操作は, 和歌山県煙樹ヶ浜と鹿児島県吹上浜の松林で実施した。煙樹ヶ浜では試験体を箱で覆い(写真1a),吹上浜では簡易な小屋の中に試験体を設置し(写真1b),それぞれ食害を進行させた。表1 試験体リストコントロール食害計トドマツ20 92 112オウシュウトウヒ11 52 63樹種試験体数図1 試験体形状及び寸法木ねじ胴部径:5.8ねじ外径:5.4ねじ部長さ:40厚さ:3.2先穴:φ6.02009 9 (単位:mm)50 5050 40 20写真1 試験体設置場所。a.和歌山県煙樹ヶ浜;b. 鹿児島県吹上浜ab