ブックタイトルしろありNo.153

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概要

しろありNo.153

( )しろあり年月はじめにが開発したベイト工法はダウ・エランコがセントリコンシステムとして日本に紹介された。このシステムはイエシロアリを対象として開発された。日本はイエシロアリも生息しているが,全国的に見ると防除の主体はヤマトシロアリである。そこで,ヤマトシロアリ用のベイト工法の開発を行うべく,ハワイ大学でベイト工法の研究を行っている博士に有能な学者を日本に招請したいと依頼したところ,王家駟( )博士に年間の契約で日本の大学で研究して頂く事の了解を得た。受け入れ先は高知大学の鮫島先生に御願いしてご了解を頂いた。最初は,ヤマトシロアリの行動学の研究から着手して頂いた。そうこうしている内に,米国のエンシステックス社のベイト工法を日本で営業展開するよう私が申し入れたところ社長のディビッド氏は快諾し,米国で使用しているシステムを空輸してきた。早速,現場で試験したが,ヤマトシロアリには駄目であった。そこで,鮫島先生と王先生に依頼し,ヤマトシロアリ用のエクステラベイト工法の開発に着手して頂いた。勿論,日本と米国(米国の研究機関は)の協同研究である。この開発の過程で,日本にはヒ素を使ったベイト剤の製法と使用技術が明治・大正時代から蓄積されており,このノウハウも生かした。そして,日本初のヤマトシロアリ用のベイト工法が完成し,株式会社バックアップは平成年月から平成年月までの年間エンシステックス社の日本総代理店としてエクステラベイト工法を全国の白対協登録施工業者登録会員業者に提供してきた。この間,全国の使用者の方から多くの改良依頼や問題点をご指摘頂き,エンシステックス社にこれらの問題点を解決するよう提案し続けたが,取引が無くなるまで度も改良が行われる事はなかった。容器の変更等には,膨大な資金が必要であったからであることが後日分かった。さて,寄せられた問題点で多かったのは容器内への土砂の堆積とクロアリ,ナメクジの容器内への侵入である。早速,この問題の解決に向けての挑戦を開始した。以下はその開発について述べる。ベイト工法シロアリは現に生息している箇所に十分な餌があるにも拘わらず,建物内や地中に蟻道を造って餌を探し回る。この行動を採餌行動と言い,その行動範囲をテリトリーという。ベイト工法はこの採餌行動を上手く利用した工法である。ベイト工法には集殺型と誘殺型がある。集殺型は建物などの周囲の地面に無毒の餌(一般的には餌木)を入れた容器を埋設し,シロアリが集まってきたときに殺蟻剤混和の毒餌(ベイト剤)を投与し駆除する方法である。一方,誘殺型はベイト剤を入れた容器を梁や柱,土台などに取り付けて,シロアリを容器内へ誘い込んでベイト剤を喫食させて駆除する方法である。維持管理型は集殺型ベイト工法に点検システムを導入し予防的な概念を取り入れたものである。維持管理型(集殺型)ベイト工法はヤマトシロアリとイエシロアリの両方に適用出来なければならない。シロアリは,動きが伴う物理的な信号,光や空気の流れ(風)等の刺激に反応する。イエシロアリは刺激に比較的鈍感に反応するが,ヤマトシロアリは刺激にとても敏感である。ベイト工法の進化は刺激を少なくすることである。ベイト工法の進化シロアリ採取法ハワイ大学の(玉城博士)は野外のシロアリを採取する方法として,最初研究発表会ベイト工法用防水型容器友清重孝