ブックタイトルしろありNo.157

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概要

しろありNo.157

( 9 )を避けなければならない。しかし,白蟻防除工事を行うとき,住宅地の土壌についてレキ等が多いか確認することは困難である。したがって,環境汚染の防止として,建物外周の土壌加圧注入は自粛すべき工法と判断する。 参考として,写真6,7に延岡市高野町の住宅地土壌と,切り土の拡大写真を示す。5.3 土壌加圧注入以外の汚染原因報告について 宮崎県延岡市,串間市の地下水汚染については,加圧注入以外の原因が,報告されている。しかし,それらを汚染原因とするには問題が多い。当時報告された原因について問題点を示す。① 延岡市川島町(原因報告) 昭和58年9月13日宮崎日日新聞社は,汚染は床下井戸のふたに5㎝の穴があり,その穴および蓋と井戸のすき間から散布薬剤が流入したことが原因との記事を報道した。(問題点) 施工したY防除士は昭和55年に防除士資格を保有しており,床下にある井戸の蓋に大量に薬剤を散布するとは考えられない。汚染1年後も8.92ppb と高濃度の汚染が持続しており,すき間などからの流入でなく,別な汚染原因と判断する。② 延岡市高野町(原因報告) 昭和57年12月延岡保健所は?床下土壌が乾燥しておらず,そのため床下土壌中の水分が薬剤散布中に飽和状態となり,薬剤の一部が土壌粒子に吸着されずに,10日前の2日続きの大雨で水位が上昇していた地下水に,そのまま混入したものと考えられる。?と報告し,同内容が新聞などでも報道された。(問題点) 高野町の汚染は下流200m に及ぶ広範囲で,汚染も5年以上持続しており,薬剤の一部が吸着されずに地下水に混入したものとするには,汚染の期間が長すぎる。別な汚染原因と判断する。 床下土壌が乾燥していなかったことを汚染原因とする新聞などの記述は,施工したY防除士が昭和57年12月6日に協会宛に提出した返答書と同じ内容である。返答書提出の2週間前の11月24日に開催された宮崎県支所研修会では,ベルシコール社が地下水汚染原因は土壌加圧注入が原因とする説明を行っている。施工したK商事社長は土壌加圧注入を行っていたことを当初話していたが,途中から話さなくなった。Y防除士の返答書記述もその施工方法の変遷に沿ったものである。しかし,施工を行ったY防除士の説明・返答であり,県会議員,国会議員による現場調査などもあり,返答後はその内容の適否は判断せず,公式の原因とされた。 しかし,今回の再調査で次の事実が判明した。 施工したY防除士が協会へ提出した返答書には,?施工前日の9月6日に施工宅に伺うが,2,3日前より降り続いた雨の為,床下に水溜まりができていたので施工を中止する。9月7日,水溜まりもかなりなくなっていたので工事実施?,?原因は,床下の土壌が相当に湿っていた為,クロルデンが土着せず,すぐに地下水に流れ込んだ為? とある。しかし,後述で示す,施工前10日間降雨量データによると,当時の延岡市では施工前日に5㎜ / 日の降雨量写真7 延岡市高野町切り土 があるのみで,それ以前の9日間は降雨がない。?2,写真6 延岡市高野町住宅地土壌