ブックタイトルしろありNo.157

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概要

しろありNo.157

( 10 )3日前より降り続いた雨の為,床下に水溜まりができていた? との返答書記述は,降雨データと異なり,信頼性に欠ける。よって返答書に記載された原因?床下土壌が相当に湿っており,地下水に流れ込んだとする? についても見直しが必要と判断した。③ 串間市宮浦(原因報告) 昭和59年9月16日宮崎日日新聞社は,汚染は天井で霧状に散布した薬剤が板の隙間をつたい,軒下の井戸に流入したことが原因との記事を報道した。(問題点) 霧状散布の薬剤量は土壌処理の10分の1以下で少ない。当然,軒下井戸へ流入した薬剤は僅かと推定される。しかし,井戸の汚染は,下流側隣井戸で最初に発生した大量汚染であり,施工家屋井戸への少量流入ではない。別な汚染原因と判断する。④ 延岡市稲葉崎町(原因報告) 昭和62年5月17日の宮崎県支所報告書では,施主談として建物外周の土壌へ穿孔掘削注入と記載されている。汚染原因については記載なし。(補足資料) 稲葉崎町では,施工家屋の井戸は建物から10m離れており,通常の施工では薬剤が井戸に流入する状況ではない。これらのことから,建物外周の土壌加圧注入が地下水汚染の原因と判断される。5.4 施工前の降雨量について 汚染原因の検討として,延岡市と串間市で気象台が測定した,施工前10日間の降雨量を表6に示す。延岡市高野町および串間市宮浦では施工前10日間の降水量は少なく,施工前の降雨の影響は少ないと判断される。これらのことから4件の地下水汚染原因は,施工前の降雨ではなく,別の要因と判断される。6. ま と め 宮崎県延岡市,串間市の地下水汚染について,資料収集,現地調査を行い,白蟻薬剤による地下水汚染の実態が30年ぶりに明らかになった。汚染の要約を以下に示す。① 昭和57年9月宮崎県高野町で白蟻薬剤による井戸水汚染が発生し,集落の井戸水が使用できなくなった。井戸水汚染は,広範囲,長期の地下水汚染となり,下流側住民の生活に多大な影響を及ぼした。翌年3月には国会で質疑されるなど大きな社会問題となった。② 昭和57年11月社団法人日本しろあり対策協会宮崎県支所は現地調査を行った。③ 昭和57年12月協会は,延岡市高野町の地下水汚染の原因は,施工者の申し出に沿い,湿った床下土壌への薬剤散布とした(施工判断ミス)。④ 昭和57年12月宮崎県支所は,延岡市高野町の井戸水汚染は,訪問勧誘業者による不必要な施工方法,建物外周の土壌加圧注入が原因とし,同工法の蔓延は地下水汚染を招くと,同工法の危険性を指摘した報告書を協会に提出した。しかし,宮崎県支所の報告書は何故か封印され,公開されることはなかった。⑤ 宮崎県ではその後も土壌加圧注入処理が続けられ,同工法が原因とする地下水汚染が2件発生した。昭和59年串間市宮浦と昭和62年延岡市稲葉崎町で白蟻薬剤による地下水汚染が発生した。⑥ 昭和61年9月,協会は防除施工標準仕様書を改施工前日数10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0①延岡市川島町 S570729 施工7月19日 7月20日7月21日7月22日7月23日7月24日7月25日7月26日7月27日7月28日7月29日25 68 1 0 73 117 77 0 0 6 0②延岡市高野町 S570907 施工8月28日8月29日8月30日8月31日9月1日9月2日9月3日9月4日9月5日9月6日9月7日0 0 0 0 0  0 0 0 0 5 0③串間市宮浦 S590808 施工7月29日7月30日7月31日8月1日8月2日8月3日8月4日8月5日8月6日8月7日8月8日33 1 1 0 1  0 0 0 1 0 0④延岡市稲葉崎町 S620504 施工4月24日4月25日4月26日4月27日4月28日4月29日4月30日5月1日5月2日5月3日5月4日0 27 9 0 0  0 10 50 4 1 0表6 地下水汚染4地区の施工前降水量(㎜ / 日)出典:気象庁の気象統計情報より