ブックタイトルしろありNo.158

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概要

しろありNo.158

( 15 )4.終わりに 2011年の後半から旧関東支部の文化財建造物の蟻害・腐朽調査に同行する機会を得た。建物の木部構造材に対する生劣化調査が主目的であるが,個人的には過去にかなりの時間を費やして研究してきた茅葺き屋根について,観察してこようと決めていた。 多分,今後そう多くの茅葺きを見る機会は少ないであろうから,不十分さは拭えないであろうが,ここで茅葺き生劣化について述べておきたいと思い,報告することとした。最後になりますが,今回の機会を与えていただいた旧関東支部に対して,それに何よりも増して,検査時にご面倒をおかけした検査員の方々に厚く御礼をもうしあげます。文 献1)山島眞雄(2012):「静岡県文化財蟻害・腐朽検査,5年目を迎えて,agreeable.,No.21,12-152)Kiyoharu Fukuda(1991):Deterioration and Preservationof Japanese Pampas grass as a Roofi ng Material.,TheInternational Research Group on Wood Preservation.Document No. 1490, 1-163)福田清春,野中裕司(1994):伊勢神宮萱葺屋根の動植物, 木材保存.20(5),257-2604)福田清春,大塚 毅,今泉勝吉(1994):萱葺屋根材料の虫害と防虫処理, 木材保存.20(4),195-2005)福田清春,大塚 毅,今泉勝吉(1995):茅葺屋根高耐久化に関するアンケート調査,木材保存,20(3),119-1256)福田清春, 野中裕司,大塚 毅, 今泉勝吉,原口隆英(1997):伊勢神宮萱葺き屋根の劣化,防菌防黴学会誌,25(1),3-97)福田清春, 大塚 毅, 今泉勝吉,原口隆英(1997):萱葺屋根材量の腐朽, 防菌防黴学会誌,25(1),11-16.8)福田清春, 原口隆英(1997):屋根葺き萱の防腐処理性,防菌防黴学会誌,25(9),513-5189)福田清春(2000):茅葺き屋根の劣化と高耐久化,京都大学木質科学研究所「木材研究・資料」.No.36,1-1610)例えば,平林寺:http://www.heirinji.or.jp/11) 亘理俊次(1991): 芝棟, 屋根の花園を訪ねて.(ISBN4-89694-612X)八坂書房.pp.30212)安藤邦廣(1983):茅葺の民俗学.はる書房.P.15(東京農工大学 名誉教授) なお,屋根葺き以前の茅貯蔵中にはチビタケナガシンクイによる食害が発生することがある(図19)。チビタケナガシンクイは,茅葺き屋根に重要な茅以外の材料であるタケ類にも食害を生ずる。図18 鳥類による引き抜き防止策の例上:旧冨岡家住宅,釣り糸下:旧島田家住宅,アワビのカイガラ図19 貯蔵茅に生じたチビタケナガシンクイによる食害