ブックタイトルしろありNo.158

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概要

しろありNo.158

( 1 )しろあり No. 158, PP.1―7. 2012 年7月<報 文>木造建築物床下の換気と木材腐朽菌の侵入土居 修一1)・小岩 俊行2)・堀沢 栄3)・吉村 剛4)1.はじめに 一般に,住宅部材や外構部材として使われる木材の腐朽は,自然界に生息する担子菌を主とする木材腐朽菌から放出された胞子や分生子などが空気の流れなどとともに移動して,含水率や周辺の温度,酸素などの条件が整った木材上に着生すると,発芽・繁殖し,その結果として引き起こされると考えられている。 一方,最近の木造住宅では,耐震性や防湿性確保などの観点からベタ基礎や土間コンクリートなどの採用が多くなっており,床下で土壌面が露出していない工法が採用される。これらの工法では,従来のような床下土壌が露出した工法と比較すると,土壌水分に由来する床下空間湿度および木材含水率が低下するとともに,床下空間および部材における微生物相が変化することや土壌中の木材腐朽菌が容易に木材中に侵入できなくなることなどが考えられる。こうしたことと上述した腐朽発生の機構を考慮すると,ベタ基礎工法などの採用はシロアリ被害の軽減だけでなく腐朽の危険性を水分低減と連動して軽減させると予想される。また,人工乾燥材の普及に伴って,床下部材の初期含水率は低くなっており,その効果はさらに大きくなるものと想像できる。 この報文では,2010年にトステム財団の助成を受けて行った「床下土壌被覆工法(ベタ基礎工法など)の換気孔は耐久性確保に貢献するのか?:木材腐朽菌の侵入経路」の研究の内容を紹介する。2.供用した実験住宅 本研究で用いた住宅は,岩手県林業技術センター敷地に建築された実験住宅である。この住宅は中央に緩衝室を設け、外張断熱工法を採用して床下に防湿フィルムを敷きこみ50 mm 厚の土間コンクリートを施工した1棟2戸の実験用建築物で,元来は換気孔がなかった建物である。このうち1戸の基礎の南北方向に100×300 mm の換気孔を設け,試験区として密閉区と換気区を設定し以下の実験を行った(図1)。図1 実験住宅の外観と設置した換気孔この部分に右図の換気孔を新たに設けて、実験に供した。