ブックタイトルしろありNo.159

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概要

しろありNo.159

TERMITE JOURNAL 2013.1 No.159 153.3 木材強制腐朽試験 菌株ごとに腐朽力には差があった。ヒノキおよびスギの心材において, T-11, NBRC 33275の2菌株の質量減少率はカワラタケやオオウズラタケと同程度か, やや大きかった(図3)。成長速度の遅いオオシロアリタケがカワラタケと同程度の腐朽力を示したことは,この2種の針葉樹材は培養基として利用できる可能性を示している。 興味深いことに, ブナにおいて他の材と比較して質量減少率はかなり小さい値となった(図3)。一般にブナは腐朽に弱い木材であり, キノコ栽培の培養基にもよく利用されている。しかし, ブナはオオシロアリタケの分布域には生育しない樹種である。南方産を含む他の広葉樹材に対しても同様の傾向を見せるのか,さらなる試験の必要性を感じている。引用文献1) 大谷吉雄 (1979) : 沖縄県内で採集したオオシロアリタケ, 日本菌学会会報, 20, 195-202.2) Aanen D. K. and J. J. Boomsma (2007) : 昆虫と菌類の関係 その生態と進化,共立出版,237-26.3) 大谷吉雄 (1993) : シロアリの栽培する菌類, しろあり, 90, 3-10.4) 金城一彦・ポムカムナード アーチャー・宮城健(2005) : 沖縄本島で採集したオオシロアリタケについて, 日本菌学会会報, 46, 41-44.5) 青島清雄・椿啓介・三浦宏一郎編 (1983) : 菌類研究法, 共立出版, 393-408.6) 日本木材学会 化学編編集委員会 (1985) : 木材科学実験書Ⅱ 化学編,(有)中外産業調査会7) Ghosh A. K., P. C. Benerjee and S. Sengupta( 1980): Purification and properties of xylan hydorolasefrom mushroom Termitomyces clypeatus, Enzymology612, 143-152.8) Zelek J. (2007) : Xylanase production by thetermite associated fungus Termitomyces sp. and itsrole in the termite nest, Addis Ababa University,School of Graduate Studies, Department ofBiology, Master thesis.               図3  腐朽による木材の質量減少率 エラーバーは標準偏差を示す。