ブックタイトルしろありNo.159

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概要

しろありNo.159

TERMITE JOURNAL 2013.1 No.159 25研究発表会Presentations at the Research Meeting1.はじめに 鹿児島県しろあり対策協会は, 信頼される業界を目指し, 毎年, 公園樹木の蟻害調査駆除(奉仕作業)と鹿児島住まいと建築展への出展を行っている。公園樹木の蟻害調査駆除は15年間, 住まいと建築展出展は12年間続けてきた。事業は毎回, 新聞, テレビなどで報道され, 協会の知名度は上がってきた。2事業とも, 青壮年部のメンバーが中心となり事業を行っている。特に,公園樹木の蟻害調査については, 実施場所選定のための事前調査, 当日の営巣掘り出しなど, 青壮年部部員のイエシロアリ営巣探索技術の向上に繋がっている それでは何故, 鹿児島県協会は公園樹木の蟻害調査に満足せず, イエシロアリの営巣掘り出しを行うようになったのか?その切っ掛けとなった, 平成12年1月と13年4月に故児玉純一氏らが鹿児島県で行ったイエシロアリ研修会を紹介する。また, 平成12年4月から行うようになった, 公園樹木蟻害調査事業での営巣取り出しを報告する。2.きっかけ 昭和61年に白蟻薬剤クロルデンが特定化学物質に指定され, 使用薬剤は有機リン系に変わった。ところが,有機リン系薬剤は速効性で分解されやすく, 特性が異なることから, イエシロアリ駆除後の被害が多発し,大きな問題となった。 その対応として, 九州でも技術が高い業者の工事方法を学び, 自社の工事に取り入れたいとする想いが,若い世代に拡がった。また, 熟練者も, 自社の技術を公開し, 業界のレベルアップに協力し, 業界の信頼を取り戻したいとする気運が拡がった。 その先導役となったのが, 宮崎県の故児玉純一氏,清水一雄氏である。3.イエシロアリ研修会の概要 児玉純一, 清水一雄氏らが平成12年1月と平成13年4月に行ったイエシロアリ研修会の概要を紹介する。イエシロアリ営巣探索技術向上への取組有限会社鹿児島シロアリ 井戸口 広行①技術指導員 研修は以下の2名が指導を行った。 児玉純一 宮崎病害虫防除コンサルタント 清水一雄 清水しろあり研究所②参加者 九州7県および愛知県の白蟻防除業者が参加, 鹿児島県からも若手が大勢参加した。③実施日と場所 平成12年1月 鹿児島県日置市吹上浜国有林 平成13年4月 鹿児島県阿久根市阿久根大島④内容 松林でイエシロアリの営巣を探し, 営巣を掘り出し,営巣を解体し生息虫を確認した。⑤許可申請 研修の前に下記作業申請を行った。1)吹上浜の松林は国有林であり, 森林管理署に入林許可を申請した。2)阿久根大島の松林は阿久根市の公園であり, 阿久根市に使用許可を申請した。4.吹上浜での研修 平成12年1月鹿児島県日置市吹上浜国有林で研修を行った。参加者は, 38名であった。①参加者は7班に別れ, 松林に入りイエシロアリの営 巣を捜した。②班ごとに, 営巣があると思われる切株, 樹木を捜し, 旗を立てた。③旗を立てた場所を全員で廻り, 旗を立てた本人が, 営巣箇所とした見立てを説明した。④その後, それぞれの場所で営巣を掘り出した。⑤空巣もあり, 3個の営巣が掘り出された。⑥広場のシートに巣を並べ営巣の解体を行った。⑦2個の営巣は職蟻とニンフが多く, 王台や幼虫がな かったため分巣と判断した。⑧1個の営巣からは, 女王が見つかった。 吹上浜松林での研修状況を写真1~5に示す。