ブックタイトルしろありNo.159

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概要

しろありNo.159

TERMITE JOURNAL 2013.1 No.159 47自作ワークシート「シロアリ, この不思議な生き物」,自作ビデオ教材「シロアリワンダーランド」, プレゼンテーションソフトによるスライド, シロアリとアリの形態比較に用いる図表, 沖縄県産各種シロアリの標本, 巣の標本(イエシロアリ, タカサゴシロアリ等),パネル10枚(沖縄県産シロアリや巣の写真, 階級組成や階級分化図, 沖縄県のシロアリ分布図, 生態系におけるシロアリの位置づけ等)である。1)第1時 オープニング 授業ではまず生徒に次の4つの質問を行う。Q1:シロアリに対してどんなイメージを持ってい ますか?Q2:シロアリは次のどの動物の仲間だと思いますか?(アリ, クモ, ゴキブリ, キクイムシ)Q3:シロアリは何を食べると思いますか?Q4:シロアリのスケッチをしましょう。 Q1について, ある年の授業での生徒の回答は, (家屋の)害虫が47%と最も多く, 続いて気持ち悪い(18%),汚い(16%), 電灯に集まる(14%), その他うじゃうじゃいる等(5%)であり, 例年ほぼ同じような回答が得られる。ほとんどマイナスイメージばかりだが, 授業後にはシロアリに対する「別の見方」が育つことを期待するものである。Q2ではアリと答える生徒が最も多かった。Q3は, 木材, 腐った木, 家の柱等の回答が多い。Q4のシロアリのスケッチにいたっては実に多種多様いろいろな姿を書いてくる。 第1時ではその後, 自作ビデオ教材「シロアリワンダーランド」を視聴する。シロアリの生態をまとめたこのビデオは, ヤマトシロアリの集団が白紙に描かれた渦巻き線上を歩く映像からスタートする。「ボールペン線上をなぞるように歩く小さな白い虫たち!しかも彼らは目が見えないらしい。この不思議な生き物は一体何だろう?」強烈な印象を与え, こうして生徒とシロアリの出会いが始まる。2)第2時 「名前が不思議」「形が不思議」「巣が不思議」 「名前が不思議」では, シロアリとアリの比較を行う。生徒の多くは, シロアリは「白いアリ」すなわちアリの仲間だと思っていたが, 観察の視点を示し比較することで両者の違いが明らかになる。アリは実はシロアリの天敵であることがわかると生徒は非常にびっくりする。「形が不思議」では標本や写真で各種シロアリの兵蟻頭部の形態の比較観察を行う。「巣が不思議」ではシロアリが種類により好みの住みかがあることを学ぶ。3)第3時 「役割分担が不思議」「行動が不思議」 「役割分担が不思議」では, コウシュンシロアリを例にシロアリの成長のようすと階級分化について学ぶ(図3)。 図3 コウシュンシロアリの階級組成 「行動が不思議」ではボールペンファクターの実験を行う。生徒はワークシートに思い思いの腺を描きシロアリを歩かせてみる。「本当にシロアリは自分が描いたボールペンの線上を歩くだろうか。」ワーと歓声が上がる楽しい実験だ。油性ボールペンの他に水性ボールペンや鉛筆を用いた同様の実験を行い比較すると良い。この実験により, 盲目のシロアリがにおい物質を触角でキャッチし, コミュニケーションしていることが理解できる。               4)第4時(最終回) 「お腹の中が不思議」「自然界における役割がすごい」 最初, 「シロアリの授業なんてキモイから嫌だ」などと言っていた生徒たちは, この頃になると「先生, 今日は何をするのですか?」と聞いてくる。そこで, 「今日はシロアリのお腹をつぶして観察します。」と言うと,「え~」や「ぎゃ~」という悲鳴が上がる。 「お腹の中が不思議」では教卓に山と積まれた大量の落葉や枯れ枝を生徒に提示するところから始まる。シロアリは地球上で最も量が多い物質といわれるセルロースを食べて生活活動に必要なエネルギーを得ている。それができるのは腸内に微生物を住まわせているからだ。そこで実際にシロアリの腸内共生微生物