ブックタイトルしろありNo.160

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概要

しろありNo.160

16 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 3 . 7 N o . 1 6 0枠とは種々のガスケットで密着されて気密化されていた。調査した家屋はすべて同一の建築メーカーの工場生産によるもので合計446棟であった。このうち, トビイロケアリが侵入して防除した家屋は25棟で, これらを侵入家屋とし, 防除しなかった家屋は421棟でこれらを非侵入家屋として取り扱った。3.2 測定の目的と方法 建築完成時の気密性能と同時に建築精度を見る尺度の1つとしての気密測定で得られた相当隙間面積はその数値の公正性を期する策として社外測定がある。それには筆者が保有する(財)建築環境省エネルギー機構公認気密測定士の資格が必要となる。446棟はすべて筆者の測定によるものであった。 気密測定機器は, コーナー札幌製KNS-5000C(写真5,6)を用いた。測定は減圧法, 即ち室内空気を屋外へ排出することによる排風量と家屋内外の差圧などが,自動的に測定がおこなわれ記録された。内外圧力差は10から50パスカルの範囲内で, 5回測定の平均値を算出した。気密性能は, 相当隙間面積(C値), すなわち,床面積1㎡あたりの建物外皮隙間量?で表わされ, 数値が小さいほど気密性能が高いことを示す。 以下にその計算式を示した8)。C=αA /SC(? /㎡):相当隙間面積, αA(?):総相当隙間面積,S(㎡):実質延床面積。 調査に協力頂いた建築メーカーの社内基準C値は1.0c㎡ /㎡以下で, 建築主への引渡し時には筆者が測定値を記した報告書を提示された。参考までに, 札幌市が推奨する次世代住宅の相当隙間面積(C値)基準は暖房機不要(人間が発する熱と窓から入る太陽熱だけで冬が過ごせる)のトップランナーレベルが0.5 ? /㎡以下, ハイレベル, スタンダードレベルとベーシックレベル, ミニマムレベルが0.7, 1.0, 2.0のそれぞれ? /㎡以下となっていて, C値に断熱材の質と厚みから算出した熱損失係数を加えて申請すると, それぞれのレベルに見合った助成金が支給される9)制度がある。3.3 測定した地域, 測定日と期間 気密性能測定を実施した地域は, 札幌市全区(36%)と周辺都市(64%:千歳市, 恵庭市, 北広島市, 江別市,石狩市)であった。 測定期間は2001年1月から2007年12月までの約7年間であった。測定は建築工事完了後で, おおむね1週間以内の引き渡し直前におこなった。したがって, 測定時点では当然ながらアリ侵入はまだ無かった。4. 測定結果4.1 侵入家屋の建築後経過月数 アリを防除した時点の家屋建築後経過月数を図2に示し, 侵入家屋25件すべてが1年以内であった。そのうち3カ月以内が19件(76%), 6カ月以内が22件(88%)で, 築後かなり早い時期にアリが侵入したことがうかがえた。これらの侵入家屋は筆者がすべて防除処理を施した。アリの種類はすべてトビイロケアリであった。4.2 気密測定結果 侵入家屋と非侵入家屋との相当隙間面積C値のヒス写真5 気密測定2写真6 気密測定3