ブックタイトルしろありNo.160

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概要

しろありNo.160

Termi te Journal 2013.7 No.160 29写真12 D1のメインフレームと筋交いの交差部(防水不良により雨水侵入)図7 D1基部の断面欠損の模試図(外壁の水平断面)写真13 CD1積層梁の劣化位置(○)(外見からは劣化が分からない)しい劣化を生じていたのは①だけで, ②及び③はほぼ健全であった。すなわち, 劣化は筋交いとの交差部付近において, 局所的に激甚な形で発生していた。なお,メインフレームの最外部約25㎝は板金で覆われているため計測不能であった。しかし, 板金と筋交いとの境界部の防水シールが不完全であること(写真12), 及び筋交いがメインフレームに差し込まれていることから, 板金で被覆された木部も劣化を生じていると推定された。メインフレームは, 基部で奥行きが約65㎝もある大断面集成材である。そのうち, 屋外側に出ているのは約40㎝で, 25㎝は屋内側にある。そこで, 屋内側の床上において屋外側に向けて診断したところ, 最大測定深さ28㎝まで健全であった。すなわち, 劣化しているのは屋外側だけであって, 屋内側は劣化していないと判断された。 以上, D1の診断結果を模試図で示すと図7のようになる。断面欠損率は, 板金による被覆部分をどう評価するかによって大きく変化する。もし, 被覆部分が健全と仮定すれば断面欠損率は約18%となり, 被覆部分が完全に劣化していると仮定すれば, 約57%となる。実態としては, この中間的な値になると推定され,劣化レベルは「大?甚大」と考えるのが妥当であろう。②積層梁:診断結果を見ると, CD1の管柱付近で激しい劣化を生じていた(写真13)。具体的には, 打音診断で劣化を生じていると指摘された積層梁の中層を診断したところ, 表層部2㎝は健全であったが, それより奥が深さ約17㎝まで完全に劣化していた。部材の奥行きは60㎝なので, この部位の断面欠損率は約25%となり, 劣化レベルは「大」と判断された。なお, 類似構造をもつDE1とBC1の積層梁には, 顕著な劣化はなかった。6.4 点検結果のまとめ 今回の建物の外周壁の点検結果をまとめると, 次のようになる。① 建物の外観に顕著な変形や傾きは認められなかった。接合部もズレていなかった。② 外周壁の内壁面や床下に激しい漏水痕が認められた(漏水は, 現在も継続中)。さらに, E9付近では, 内壁面に漏水痕のみならず蟻土(シロアリの痕跡)が認められた。③ 一次診断により柱脚部を全数調査したところ, 健全な柱が約40% , 腐朽・蟻害の兆候を示す柱が約60%