ブックタイトルしろありNo.161

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概要

しろありNo.161

10 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 4 . 1 N o . 1 6 1 ナミビア北東部では, シロアリ塚はチウル(Chiulu)と呼ばれ, ここでも北西部と同様にその土が住居の土壁材として利用されている。その他にもシロアリ塚の形態によって, 家畜囲いの設置場や作物の作付け地としての利用がみられる(詳しくは山科(2013)31)参照)。 ナミビア北西部・北東部の両調査地でシロアリ塚の土を住居の土壁材として利用していた。北西部ではシロアリ塚の土にウシの糞を混ぜる点や, 北西部では塚を崩して土を利用するのに対して, 北東部では塚の周辺部をドーナツ状に利用していく点31)など違いはあるものの, 土壁材としての利用は共通している。シロアリ塚の土を壁に利用する理由として, “家がきれいにできる”“石が少ない”(北西部), “自然のセメント”“壁が割れない”(北東部31))などが挙げられたことからも, シロアリ塚および周囲の土が細粒・等粒で凝固しやすいという特性を人々が認識していることがわかる。ナミビア中部でもシロアリ塚の土を使ってレンガを作っており(写真3), シロアリ塚の土の建材としての利用はナミビアで広くみられる。また, ナミビア北中部のオバンボランド(図1)は雨季にアンゴラからの洪水によって水浸しになる地域にあたり, 住居を建てる場所の目安としてシロアリ塚や樹木が用いられるという報告がある32)。この地域には, 北西部と同じような形態のシロアリ塚が多数分布しているが, 住居の材としては利用されていない。写真1  ナミビア北西部, 住居の土壁塗り    * 2008年9月6日,著者撮影写真2  ナミビア北西部, シロアリ塚の土を舐める家畜    * 2010年7月8日,著者撮影図1  ナミビアにおける降水量(mm/year)と調査地の位置   * 実線:ナミビアにおける年降水量を等値線で示した(50mm/year間隔)。   ** 州については,調査対象の州のみ灰色で示した。0 200 500 km50100150200100550550600500450400350首都 250 300O村 M村クネネ州ザンベジ州エロンゴ州オバンボランド0 200 500 km50100150200100550550600500450400350首都 250 300O村 M村クネネ州ザンベジ州エロンゴ州オバンボランド