ブックタイトルしろありNo.162

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概要

しろありNo.162

Termi te Journal 2014.7 No.162 39材料と方法有翅虫採集と創成期コロニー飼育容器 2013年4 月の夜間にBroward County (Florida,USA) にてライトトラップを用いて36) , 群飛したイエシロアリ有翅虫を採集した。採集した有翅虫は, 湿らせた段ボールを入れた容器に入れ, 翌朝実験室へ移した。棄翅虫は雄雌1頭ずつペアにし, 個体飼育容器にて飼育した(Light and Weesner37), King andSpink26), Higa28) の方法を改良)。個体飼育容器は, 透明なプラスチック円筒形容器(8×φ2.5 cm)に, 湿らせた有機土壌6gを敷きつめた。トウヒ(Picea sp.)材(5× 0.5 × 0.5 cm) 4個を垂直に並べ, さらにトウヒ材(10 × 0.5 × 0.5 cm)1個を垂直に置いた。容器上部から2cmの高さまで3%寒天溶液を流し込んだ。寒天が固まった後長い方のトウヒ材は取り除き,供試虫が土壌と木片に到達できるように空間を作った。1組の棄翅虫ペアを放虫し, 乾燥や逃亡の起きない程度の換気穴を開けたプラスチックの蓋をした。28℃で6ヶ月保管し, 適宜少量の水を添加した。大多数は, 3ヶ月間は飼育容器の外から観察できたが, 職蟻が出現すると土壌や排泄物を容器内に塗布する為,外からの観察は出来なくなった。その為, いくつかの反復(20 ヶ)を解体して, 個体数と形態を調査した(破壊調査)。成熟期コロニー及び老齢期コロニー イエシロアリのコロニー間の形態を比較する為, 活性のある生殖虫が認められる3年以上経過した実験室飼育コロニーから, Su 38) の方法によってシロアリを採集した。これら大きなコロニーのいくつかは, 生殖虫の交替は認められず, Chouvenc et al. 39) が述べるように老齢個体の蓄積により3年以上経過すると活性が低下した。更に, 野外の成熟期コロニーから採集した個体についても(Su and Scheffrahn40) の方法)観察した。全てのコロニーについて, 採集した個体を形態計測分析に供した。これら個体は, 顕微鏡下で写真を撮影し, 計測した。3齢職蟻(W 3)以降は, 頭幅では判別できないので28), 触角節数をカウントすることにより齢期を決定した。文献の再検証 イエシロアリのコロニー年齢に依存するカースト発生経路を正確に作成する為に, 本研究に加え, 過去のShimizu23), Nakajima et al,41), Bess25), King andSpink26), 27), Higa 28), Raina et al. 35) による文献データを再検証した。全体として, 形態計測値, 発生時期,各種コロニーのライフステージにおける各カーストの個体数は, コロニーの由来, 実験手法, 及び飼育温度により結果に差が認められた42)。我々は原著論文のオリジナルデーターと試験方法を入手した。その結果,我々はコロニー分化の各事象の為の平均値を設定し,全観察結果を包括的な図に編集した(図2)。齢と各カーストの分化経路での略語は次の通り:A=有翅虫,SR=二次生殖虫(ネオテニック), Ln=幼虫齢1?2,Nn=ニンフ齢1?6, Wn=職蟻齢1?7, PSn=前兵蟻経路1?4, Sn=兵蟻経路1?4。 “創成期コロニー”と“成熟期コロニー”は, 一般的には各々新しく創設されたコロニーと生殖虫カーストを生産する状態になったコロニーを示しているが, コロニーのより明確なライフステージを記載した文献で使われている用語には矛盾が有る43) 。我々の再検証では, コロニーの5段階のライフステージを定義し,カースト発生経路を明確にした。従って, 我々はこれら5つのライフステージを再定義し, カースト発生経路を特徴づける各ライフステージの鍵となる点を示した。5つのライフステージについては, 結果の項目で詳細に述べるが, 経過年数と共に次のとおりである:創成期コロニー, 未熟期コロニー, 若齢期コロニー,成熟期コロニー, 老齢期コロニー。結果コロニーのライフステージの機能としてのイエシロアリのカースト発生経路創成期コロニー, 0?7ヶ月 創成期コロニーの成長については, King and Spink26)及びHiga 28)の結果を再検証した。創成ペアは, 楕円形の部屋を作り, 雌は創成から4ヶ月に渡る最初の産卵期を開始(20 ?70個)するが, それらは漸次孵化する。最初の卵群は次々と孵化して, 触角節数9ヶの1齢幼虫(L 1)となり, 王と女王はよく世話をし, 18 ?22日後には速やかに触角節数10の2齢幼虫(L 2)となる。25日以内に, 大部分のL 2は1齢職蟻(W 1, 触角節数11)に脱皮し, 1?3頭は前兵蟻(PS 1, 触角節数11)に脱皮する。W 1はW 2(触角節数12)に, PS 1は兵蟻(小型兵蟻S 1, 触角節数12, S 1考察での小型兵蟻についての記述を参照)となる。 創成期コロニーの死虫率は高く, 40%が6ヶ月以内に死亡した(Higa28); 本研究)。また, 野外の若いコロ