ブックタイトルagreeable 第14号(平成22年4月号)

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概要

agreeable 第14号(平成22年4月号)

寄稿THAILANDVIETNAMMALAYSIAINDONESIALAOSCHINAAgreeable 2010/4 61.はじめに2009年8月と11月にマレーシアとベトナムにおいてシロアリ多様性の調査に同行する機会をいただきました。目的は東南アジア地域の木質資源に対する木材劣化生物の多様性を人工林と天然林で比較調査することです。人工林はアカシア植林地で、また、天然林として、マレーシア、ボルネオ島、サバ州の保全林およびベトナム、カッティエン国立公園においてシロアリと菌類を対象として多様性調査を行いました。2.マレーシアでの調査調査を行ったサバ州はボルネオ島の北部に位置しており、ユネスコの世界遺産にも登録されている東南アジア最高峰のキナバル山がそびえ立っています。しかし、残念なことに悪天候のため飛行機がなかなか着陸できずコタキナバル空港に到着した頃にはすっかり日が沈んでいてキナバル山は見えませんでした。その後レンタカーに乗り込み移動したのですが、目的地までの道のりを示した地図は右左折とロータリーの位置、そしておおよその所要時間のみが書かれた実に簡潔で明瞭な地図でした。頼りないと思われた地図ですが本当に目印になるような物がなく、しかし、移動を始めれば実によくできていることがわかりました。翌日は保全林の調査に向かいました。赤土を固めた道を行き、たどり着いた森はフタバガキの巨木があり、ハリナシバチという毒ばりを持たない小さな蜂の巣ができていました。また大きな木が光を遮っているせいか、林内は薄暗く、地面を落ち葉が覆っていたため坂になっている場所では何度も転びそうになってしまいました。(写真1)森の中は葉枝が光を遮ってくれるため過ごしやすいのですが、シロアリを採集していると蚊とそれ以上に沢山集まってくるハリナシバチに悩まされしました。ハリナシバチ達は汗からミネラル分を得るために集まってきているそうです。ちょっとしたお供を引き連れながら採集したシロアリは、木材食のシロアリや土壌食のシロアリがほとんどでした。特に土壌食のシロアリは大顎が左右で非対称な兵蟻などユニークな形態をしたものを多数目にすることができました。帰りはスコールが降ってきて舗装されていない道はあっという間にぬかるんでしまい、ハンドルを切るたびに右に左にと車は滑っていきます。マレーシアの調査では気候の違い、スコールのすごさを実感することになりました。3.ベトナムでの調査カッティエン国立公園は、ホーチミン市から北に約150㎞に位置する敷地面積7万1920haの保護林です。1992年に国立公園に指定され、2001年にはUNESCO「人間と生物圏(MAB)計画」が世界で411番目の国際生態保護区に認定されています。ホーチミン空港へ向かう飛行機は機体トラブルにより出発熱帯多雨林マレーシアと熱帯乾燥林ベトナムのシロアリ調査三巻 和晃山口大学農学研究科修士課程1年写真1 サバ州の保全林