ブックタイトルagreeable 第16号(平成22年10月号)

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概要

agreeable 第16号(平成22年10月号)

寄稿9 Agreeable 2010/1018:30から僅かに飛来し始めた有翅虫は19:00?19:10の間で最も多く6626頭となり、その後19:20頃から急激に減少しました (図2)。山野(1984)によるとイエシロアリの群飛個体数は2001?5000頭ぐらいが最も多いといわれています(詳細は機関誌「しろあり」第55号を参照)。調査方法が異なるので今回の結果を単純に比較することはできませんが、僅か10分の間に飛来した有翅虫の個体数が6000頭を上回ったことからも小笠原におけるイエシロアリの群飛規模が非常に大きいということを伺い知ることができると思います。さらに、小笠原しろあり防除センターの杉浦氏によると、この時に観察された群飛の規模は中程度ということでしたので、大規模群飛時にはさらに多くの有翅虫が飛来することが予想されます。これまでに小笠原で実施されてきたシロアリ対策により、集落付近ではイエシロアリの生息密度が低下し群飛規模も減少しています。しかし、生態系への影響から薬剤散布を行っていない森林では依然高い密度でイエシロアリが生息していることが推察されます。3.さいごに小笠原のシロアリ対策は「人とシロアリの住み分け」を理念とし、「集落内の立木や家屋から巣を根絶除去する」、「シロアリを寄せ付けない工夫をする」、「自分の財産は常に自分で点検する」という3原則に沿って取り組まれています。シロアリは木材を加害する深刻な害虫である一方で、森林生態系の分解者として重要な役割を果たす益虫であるので、環境に優しいシロアリ防除技術体系の確立・普及という点からも、小笠原の取り組みは非常に大きな意味があると思います。現在、集落付近のシロアリは減少しているので、これからは「集落内の立木や家屋から巣を根絶除去する」を継続すると同時に「シロアリを寄せ付けない工夫をする」をより強固なものにし、「人とシロアリの住み分け」が今後ますます発展することを心より期待いたします。今回、小笠原シロアリ対策事業に同行する機会を与えて下さった吉野弘章氏(吉野白蟻研究所)、ならびに群飛調査において多大なるご助言、ご助力を頂いた児玉純一氏(宮崎病害虫防除コンサルタント)、田中和彦氏(甘木白蟻)、杉浦正明氏(小笠原しろあり防除センター)、余合一馬氏(アイキ)、高峰翔氏および加藤知美氏(吉野白蟻研究所)にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。社団法人日本しろあり対策協会は、昭和34年5月15日に設立されて以来約半世紀にわたって、建築物、工作物等のシロアリ被害と腐朽の防止を推進するわが国唯一の団体として、登録施工業会員制度、しろあり防除施工士及び蟻害・腐朽検査員の認定登録、防除薬剤等の認定登録、防除施工標準仕様書と安全管理基準の制定、シロアリ被害の調査研究など、建築物の耐久性向上のため諸事業を行っている。会員各位の資質を向上し、関係機関・諸団体と協力して、防除施工における安全性の確保並びに環境保全に寄与し、消費者から信頼される体制を確立し、もって公共の福祉の増進に寄与することを使命とする。会員はシロアリ被害の予防及び駆除工事を的確に行うために、人の健康と環境の保全に十分配慮し、シロアリの生態、腐朽、薬剤、建築、防除施工などの防除に関連する専門的知識並びに長年現場で習得した経験的知識を満たしていなければならない。また、会員はそれらの知識に関して研鑽に努め、持続可能な社会の発展に寄与するとともに倫理に基づいた妥協のない専門的判断を行わなければならない。?社会的責務①会員は業務の遂行に当たって、本綱領を尊重するとともに、法律を遵守する。②会員は、地球や地域の環境問題と建築物に対するシロアリ・腐朽対策の関わりを認識し、業務に取り組む。③会員は、シロアリ・腐朽対策専門家としての役割と責任について、社会の正しい理解と評価を得るために努力する。④会員は、虚偽、誤解を招くような行為等により自分自身の業務についての情報提供や宣伝をしない。⑤会員は、品性、知識、能力、倫理観を備えるとともに、常に自己の研鑽に努める。?行動基準①会員は依頼者の要請に応え、誠実に業務を遂行することによって依頼者の正当な利益を守る。②会員は、シロアリ・腐朽対策専門家として自己の独立の立場を保って業務を遂行する。③会員は、業務上知り得た依頼者の秘密を漏らさない。④会員は、自らの業務において利害が対立すると考えられる場合には、その事実を関係者に告知する。⑤会員は、他の会員と協同して業務を行うとき、或いは他の専門技術者ならびに他分野の専門家の協力を求めるときは、お互いの業務の分担と責任を明確に合意した上で、相互に信頼をもって業務を遂行する。⑥会員は、誠実と公正をもって業務を遂行するために本綱領を業務組織の全員が遵守するよう、周知徹底する。社団法人日本しろあり対策協会倫理綱領