ブックタイトルagreeable 第17号(平成23年1月号)

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概要

agreeable 第17号(平成23年1月号)

Agreeable 2011/1 10お盆過ぎの8月下旬にロンドンに来てからはや3カ月が過ぎます。夏は夜も8時過ぎまで明るかったのですが、11月に入った途端、気温は氷点下になり、4時半ごろにはすっかり真っ暗になるほどです。名物のロンドンの霧もたまに見られます。緯度が高いことを実感しています。イギリスにやってきた目的は、ロンドン自然史博物館で、ここ10数年で大量に溜まりに溜まった東南アジア、特にタイのシロアリ標本の同定と新種記載・新記録を行い、最新のシロアリ分類体系を勉強するためです。私が滞在しているロンドン自然史博物館の研究部門の中にある「SoilBiodiversity Group( 土壌動物多様性研究部門)」には、Dr. PaulEggletonを筆頭に多くのシロアリの多様性と分類の研究者がおり、世界中のシロアリ標本が多く保管されています。近年発表された〝Deathof Order?、シロアリ目はゴキブリ目に入るという論文を発表したものこのチームです。また、シロアリの多様性測定法トランセクト法を開発したのもこのチームです。「ロンドン便り」第1回の今回は、このロンドン自然史博物館の、ガイドブックにはない豆知識&楽しみ方を紹介します。自然史博物館は、ロンドンの西寄り、サウスケンジントンにあり、背後にハイドパーク、徒歩圏内にロイヤルアルバートホールやアルバート&ビクトリアミュージアム、有名デパート、ハロッズなどがあります。もともと大英博物館に収蔵されていたハンス・スローン卿のコレクションを中心とした自然史関連の収蔵物が莫大になりすぎたために、1881年に新たに設立された博物館です。現在は、地質関係の展示が中心のアースギャラリーと生物関係の展示が中心のライフギャラリー、2009年に完成した標本収蔵と研究者施設の新館ダーウィン・センターに分けられます。私は、日々このダーウィン・センターで研究をしています。この博物館を訪れたらまず建物を見てください。博物館を訪れるとつい収蔵品ばかりに注目しますが、この建物を見逃すのはもったいないです。どっしりとした外観は、一見しては博物館には見えないほどです。多くの人が「この建物は博物館になる前には何の建物だったのですか?」と尋ねるほど立派なものです。答えは、「自然史博物館のために建てられたものです」。その証拠に、石造りの柱や壁には、様々な動物が鎮座し、蛇やツタがまきついてたり、猿がしがみついていたり、鳥が止まっていたりします。天井の壁画は全て植物です。さて、この博物館の名物と言えば「恐竜ギャラリー」です。正面玄関入ってすぐのCentralHallでは巨大な首長竜ディプロドクスの骨格標本が皆を迎えてくれます。(スタッフの間では〝Dippy?と呼ばれて親しまれています。)実は、この博物館が大英博物館から分館した時に大英博物館の自然史部長であり、分館の立役者でもあったリチャード・オゥエン卿が、「Dinosaursロンドン便り№1Agreeable AgreeableJanuary2011竹松葉子山口大学・農学部ロンドン自然史博物館Natural History Museum写真1 博物館全景