ブックタイトルagreeable 第17号(平成23年1月号)

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概要

agreeable 第17号(平成23年1月号)

オピニオン1 Agreeable 2011/15.木材保存剤の審査規程と法的位置付け?木材保存剤等性能審査規程木材保存剤の規制法規上の位置付けは、審査の基本事項と実施細則を定めた「木材保存剤等性能審査規程」の中に法的規制にかかわる条項が謳われています。以下に、木材保存剤に係る法的規制条項を紹介します。①化審法化学物質の特性・有害性を把握し、リスク評価に応じて適切に管理することが、基本的な考え方です。最近の化学物質の管理は、国際的な調和と協調のもとに、取組が強化される方向にあります。化審法により、新規に製造・輸入される化学物質については、事前審査が義務付けられます。難分解性、蓄積性、長期毒性を有する化学物質等については、製造・使用・輸入が規制されます。化審法による指定物質は、第一種特定化学物質(難分解性・高蓄積性・長期毒性物質:製造・輸入の原則禁止)、第二種特定化学物質(難分解性・低蓄積性・長期毒性物質:製造・輸入届出、表示義務など)、および第一種、第二種および第三種監視化学物質:難分解性・低蓄積性・長期毒性の疑いあり:製造・輸入実績数量の届出など)です。第一種特定化学物質および第二種特定化学物質に該当する薬剤は、現在使用されている木材保存剤の中にありません。かつては、DDT、クロルデン、ドリン剤がありました。監視化学物質に指定される木材保存剤は、現在も使用されていますから、環境汚染防止の観点から、製造・輸入実績量の届出などの規制を受けることになります。②「毒物および劇物取締法」この法律は、毒物および劇物について保健衛生上の見地から必要な法的規制を行うことを目的としています。現在、毒物に指定される木材保存剤はありませんが、劇物に相当する木材保存剤が結構あります。これらの規制製品は、その製造業、販売業等の登録証の写しを付属資料として提出しなければならない。③水質汚濁防止法工場および事業場からの排出により、公共用水域および地下水の水質の汚濁により、人の健康、または生活環境に係る被害を生ずる恐れのある物質とその基準を定めている法律です。木材保存剤の、環境汚染防止に関する説明書に、次のことを記載して審査を受けることになっています。製品の成分が水質汚濁防止法の対象の有無、法の規定に対する対応、法令の遵守のための助言、公害防止策などを記載し、審査を受けることになっています。④大気汚染防止法工場および事業場における事業活動ならびに建築物の解体や燃焼により、発生する排出物を規制する法律です。煤煙、揮発性有機化合物および粉塵の排出等を規制し、有害大気汚染物質の防止対策の推進です。⑤廃棄物処理法廃棄物処理に関する説明書には、廃棄物の処理および清掃に関する法律の規制を受ける場合は、その旨を記し、1製品の製造時に生ずる廃棄物の処理方法、2加圧処理工場で生ずる、本製品およびその処理木材にかかわる廃棄物の処理方法など、その対応措置を記載する。また法規制を受けない場合でも、製品自体や処理された木材の焼却、廃棄処分で注意すべき点があれば記載することになっています。⑥消防法この法律の規制を受ける場合は、その旨を記し、その対応措置等記載する。危険物の規制で、製造、取扱、保管、運搬、販売、使用および廃棄に関する規制を行う他に、運搬容器の構造や表示および指定数量等が定められている。上記の①から⑥以外に、関係する法的な規制や関係深い法律を以下にあげます。⑦労働安全衛生法労働災害の防止のため、工場および事業場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です。各事業活動において必要な資格を有する業務を免許や技能講習、特別教育といった形で取得することを義務付けられます。⑧製造物責任法(PL法)製造物責任(Product Liability)からPL法と呼ばれています。製造物の欠陥によって、人間の生命、身体、財産が被害を受けた場合、製造業者に損害賠償の責任を負わせることによって、被害者の保護、国民生活の向上、国民経済の発展を目的とする法律です。対象となる製造物は製造、加工され移動できるものであり、対象となる製造業者は製造物を業として製造、加工、輸入、販売する者です。⑨農薬取締法農薬について登録制度を設け、販売および使用の規制等を謳っている法律で、これにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保を図っています。農薬について、農林水産大臣の登録を受けなければ、これを製造し若しくは加工し、または輸入してはならない。また農薬の種類ごとに、その使用時期、使用方法、使用量について、遵守すべき基準(=農薬使用基準)が定められています。⑩Good Laboratory Practice (GLP、優良試験所基準)制度化学物質に対する各種安全性試験成環境とコンプライアンス②?木材保存剤の法的規制?東京農工大学名誉教授・農学博士    東京農工大学環境安全管理センター  安部 浩