ブックタイトルagreeable 第18号(平成23年4月号)

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概要

agreeable 第18号(平成23年4月号)

Agreeable 2011/4 4国内におけるアメリカカンザイシロアリ(以下カンザイシロアリ)の被害については、1970年代から報告があり、本協会でも時折取り上げられてきた問題であるものの、一部の研究者やシロアリ防除業者が調査や研究を細々と続けてきただけで、調査や防除方法に関してこれまで包括的な取り組みはなされてこなかったというのが実情と思われます。一方、本協会ではこれらの状況を背景として平成15年から乾材シロアリ対策特別委員会(森本桂委員長)を発足させ、平成22年からは委員を一部入れ替えながら活動を継続してきました。その間にマスコミ等で被害実例などが報じられるに伴い、この問題の重要性が社会的に認識され、国土交通省や林野庁も調査や防除対策に関する動きを見せ始めています。その一方で、この問題の難しさや複雑さも見え始めており、対策とその構築方法について、今後少し根本的なレベルからの検討が求められているように見えます。以下に私見ではありますが、対策の構築の際に留意しておかねばならない点について述べます。まずカンザイシロアリの食害の特徴として、発生源となる家具や建材のある家屋の周囲の家屋では、発生源からの羽アリの飛来によって被害が発生するため、小屋裏、軒、外壁や窓周りの部材から食害が始まる、コロニーが小さく、乾燥した建材を食害する、建材表面に蟻道は構築しない、群飛の時期は不定、といった点を挙げることができます。従って駆除や予防の基本的な考え方を、イエシロアリやヤマトシロアリなどの地下性のシロアリのそれらとは、根本的に変えなければなりません。最も根本的な駆除方法は、天幕くん蒸ですが、安全性やコストの面で実施しにくいのです。またくん蒸には予防効果がないので、別途対策が必要ですが、適切な方法が見当たりません。またカンザイシロアリの被害は一定の地域内に広がっている可能性が高く、域内の一部の家屋をくん蒸しても、予防策がなければ再発の危険性を免れません。また仮に予防技術があったとしても、域内の被害のない家屋の住民に対して、その理解を得て予防処置を講じることは難しいと思われます。現状では、被害のある家屋に対しては、コロニーのある木部を検索して、その周囲に駆除剤を穿孔注入するしか駆除方法はありません。しかしコロニーが小さく、分散しており、かつ見つけにくい、といった課題があり、結果として、処理の効果が検証できないし保証もできないのが現実です。1回の処理で完全に被害が止まることはまずないので、いつまでも効果不明の駆除を繰り返すはめになりがちです。また室内側からの処置も起こりえるので、住人の健康への気遣いもこれまで以上に必要となります。一方、実際の被害家屋は多めに見積もってみても現状では全世帯の0.01%程度と思われ、かつ局所地域に分布するため、ほとんどの防除業者にとっては知識がないのが現状です。防除の第一歩はまず確かな診断が必要になります。また住人が被害に気づいた時には相当年数がたっており、被害領域は広がっているはいるが、食害そのものが緩慢なため強度性能を大きく損なうほどの断面欠損を起している被害は案外少ないように思います。カンザイシロアリの防除では、確かな診断、施主の理解、駆除の効果と限界の説明などが必須となります。これらはこれまでの防除実務についても基本であると思われ、これを契機に防除実務のあり様を一度点検する必要があるように思います。アメリカカンザイシロアリ対策の今後藤井義久乾材シロアリ対策特別委員会 委員長人生において、死という厳粛な時が誰にもいつかは訪れることを知るのは、とても悲しいことです。一瞬にして、あなたの命を奪った東北関東大震災という怪物を、いくら恨んでも、恨み足りません。あなたは自ら信じるところを歩み、敢然として初志を貫き通してきました。資性豪放磊落にして寛容であり、また多くの人の尊敬と信頼のまとでありました。?日本しろあり対策協会では東北、北海道支部岩手県支所長としてその職責を全うされました。また平成14年10月には、文化財虫菌害防除処理委員会及び文化財防虫防菌処理実務講習会が盛岡市で開催され、あなたは幹事役としてこれらを成功させられました。その節には「遠野物語」について意見交換もいたしました。残された私どもがそれぞれ精一杯生き抜くことがあなたのご遺志を継ぐことになると思います。ご遺族の方々の悲嘆は、まさに断腸の思いさながらでございましょう。ここに深く哀悼の意を表するものであります。このうえは、なにとぞ力強くお過ごし下さいますよう祈念いたします。静かにあなたとの思い出をたどり、心の中であなたと旅をしたいと思っております。合 掌 播摩健太郎さんを偲ぶアペックス㈱ 坂本輝美