ブックタイトルagreeable 第19号(平成23年7月号)

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概要

agreeable 第19号(平成23年7月号)

Agreeable 2011/7 8会員のページ今年に入り、これまで確認がされていなかった茨城県結城市にて初となるイエシロアリの被害が発見されました。発見の経緯発見に至った経緯は、平成23年2月にわが社にかかってきた「我が家に、アメリカカンザイシロアリの被害が発生しているようなんです。」という1本の電話からでした。お話を聞いてみますと「糞のようなサラサラした粉が落ちてくる。」「普通のシロアリの駆除を何回か行っているが一向に止まりません。どうも違うシロアリのようです。」など様々な情報をお聞きすることができましたが、当方よりアメリカカンザイシロアリの特徴的現象をお話しすると、なかなか一致点が見い出せませんでした。そこで、採取してあるというシロアリと糞と思わしきものを郵送して頂き、確認することとなりました。そして、送られてきたシロアリを同定し、イエシロアリであることが確認されました(写真1)。また、糞と思われていたものは紛れもない分巣の欠片であることが分かりました。被害報告では最北限この採取された場所である茨城県結城市の地理的条件は、北緯36度19分(35度53分)、東経139度54分(140度40分)であり、これまで被害の報告がされていた潮来市辺りのラインよりもさらに上に位置しています。( )内は潮来市の北緯、東経です。年間平均気温を見ても結城市は年平均13.2℃(14.6℃)とこれまた潮来市に比べ1℃以上も低い値を示しています。これら地理的条件等から見て、我々が知る限りでは最北の被害報告例です。現場調査調査は、建物全体はもとより、周辺環境なども入念に行いました。その際ターマトラック等の検査機器も用いて実施しました。その結果、具体的な被害発生箇所は、目に見える所では、まず3箇所にフローリングが「盛り上がる」という形で発現していました。この盛り上がるという表現からもこのシロアリがヤマトシロアリではないと分かります。後に判ったことであるが、この現象は荒床の合板とフローリングの間を食害されたために、接着剤が切れフローリング材が跳ね上がった為にこのような現象が起こったものでした(写真2)。分巣位置は、本物件のリフォーム、修理を手掛けた工務店の方が撮影された写真より住居側玄関脇の壁体内部に有ったことが分かっています(写真3)。(以前の別の業者による駆除の際に取り除いてあったため、我々の調査の際にはそこには分巣はありませんでした。)さらに、玄関向かって左側のお部屋の荒床の合板と断熱剤の部分にも分巣と思われる塊が工務店の方の写真よりあったことが分かっています。その他では、南側を中心に床下木部に被害が確認されました。(被害状況図を参照)以上で大方の調査を終えることができました。一つ今回の調査において残念なことは、本巣の発見までには至らなかったことです。ですが、南東角に最初の侵入口である蟻道を発見しており(写真4)、分巣位置や被害箇所などいくつかの根拠から推測し、住宅玄関ポーチから犬走りの間に本北限(?)のイエシロアリ被害田中勇史関東白蟻防除株式会社写真1 フローリング下地やベニヤに生息するイエシロアリ  写真2 フローリングの盛り上がり写真3 壁内部の分巣