ブックタイトルagreeable 第19号(平成23年7月号)

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概要

agreeable 第19号(平成23年7月号)

13 Agreeable 2011/7いました。今回の滞在の目的はタイのシロアリを分類することですが、同時に、日本では見ることのできないグループの標本を見るいい機会です。私はアフリカや南米ではシロアリの採集をしたことがないので、記載や絵で知ってはいても実物を見たことがないグループが多くあります。世界中のシロアリの分類群を一通り観察することができました。私の研究している東南アジアでのシロアリ多様性調査の手法を開発したのは、この土壌動物多様性研究部門のジョーンズ博士とエグレトン博士です。「シロアリ研究部門」から「土壌動物多様性研究部門」になった現在、彼らは、シロアリだけではなくミミズやアリ、甲虫などの土壌動物全体の多様性を、アジア、アフリカ、南米の熱帯からイギリスの森林までグローバルに調査しています。その一環として、イギリスの森林における土壌動物多様性プロジェクトがたちあげられており、日々、多くの研究者やボランティアが調査に出かけ、サンプルの整理をしています。私もその調査に同行させてもらいました。調査は、ロンドンの南西にあるニューフォレスト国立公園で行われています。基本的にシロアリ調査と同様にトランセクト調査です。森林に100mラインを引いて、一定間隔ごとに土壌中のミミズを採集したり、ピットホールトラップを仕掛けたり、落ち葉を集めたりします。前回紹介した「Naturelive」では、この研究部門では月に一度の割合で、ニューフォレストで調査をしているスタッフとライブカメラでつないで、実際の調査現場の中継をします。実際の調査現場が見られるというので人気を集めています。6月に入り、ロンドンでの滞在もあと2カ月を切りました。1年間ではまだまだやり残したことはありますが、世界的な博物館での滞在は、これからシロアリの分類をしていく上で役に立っていくに違いありません。3回にわたる「ロンドン便り」にお付き合いくださり、ありがとうございました。写真3 ロンドンの南西にあるニューフォレスト国立公園での調査風景    (上)穴を掘っているのが、我らがボス、シロアリ研究の大御所、エグレトン博士です    (下)採集してきた土壌や落ち葉から昆虫だけを取り出す装置、ウィンクラーバッグ。博物館旧館の古い塔のてっぺんにあります写真2 液浸標本庫。右は、シロアリの標本