ブックタイトルagreeable 第20号(平成23年10月号)

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概要

agreeable 第20号(平成23年10月号)

Agreeable 2011/10 14れないか、と申し出る人もいるほどです。丁度台風15号が通り過ぎたばかりで、たまたま静岡県三保の松原で倒れた大径木の立木の写真を撮っていたので、それも小さな写真パネルにして展示しましたが、シロアリに食害されて自重を支えられなくなった無惨な倒木は、皆さんに生木も食害を受けることと、今後も充分に起き得ること、保存の本来を考えさせるきっかけにもなったようです。あるNPOからは(建築屋さんが集まっているらしい)、現在定期的に住宅点検を行っているが、通常のシロアリの被害はわかってもアメリカカンザイシロアリの被害がわからない。展示しているカンザイの糞を用立ててもらえないだろうか。検査員すべてに持たせたい。そんな申し入れもありました。また、屋久島で今からすぐ着工する2×4の建物がある。現地にはシロアリ業者はいないので、どこか確かなところを紹介してくれないか、との相談もありました。一応鹿児島の支所長に協会から連絡を取ってもらうことにしましたが、業者紹介は協会にとって頭の痛い問題です。その他、ベイト工法、ホウ酸処理法、調湿材、換気扇等についても具体的な質問がありました。それぞれ現在の協会の取り組みを説明しておきました。最後に、今回一日ブースに詰めて一番意外だったのは、「施工価格」についての質問が1件もなかったことです。レッド証を提げた方も話をしてみると、ほとんど既に建築計画を持っているのです。業者からも一般の人からもお金の話がない。これはどのように理解したらいいのでしょう。展示会が始まる前に一番心配していたのが、この問題だったのです。私たちが今まで表に出してきた金額は、既に市販されている各種設計資料と乖離しています。そこをどう説明するか。何か拍子抜けしてしまった感があります。一日目は大入りだったと言えるでしょう。3日間合計では約550名がブースを訪れたと聞きました。又、最終日には関東学院大学中島正夫先生による技術セミナーが、安全で長持ちする木の家を目指して―建築病理学のすすめ―をテーマに開かれ、こちらも多くの方に来場いただきました。おわりに地方で住宅展に出展すると、およそ家族連れのひやかしばかりで、子供の行儀の悪さが目立ちます。お金がかかるばかりで、啓蒙・普及に役立つのだろうかと首をひねります。その点、ジャパンホームショーは本来の機能を発揮しています。私が詰めている間、子供は一人も見なかった。それだけ対象を絞り込んでいるということです。私たちも恐らくこのイベントが続く限り、永くお付き合いしなければなりません。予算を考えると、現在の3m×3mのスペースが限度でしょう。その中でどれだけの情報を発信できるか。正直なところ、私たちの協会は内向きの広報は得意なのですが、外向きとなると決して上手ではありません。そこのところを、組織の変更を機に直してゆく必要があります。ジャパンホームショーのブース展示についても例年通りということになれば、人は前を通り過ぎて行くことになるでしょう。同じ被害でも、毎年違う被害材を見せる、珍しい被害物を展示する、生きたシロアリの展示方法、パネルの充実、資料の拡充など、まだまだ考えることはたくさんあります。スペースは狭くても、もう一人くらい説明員を増やしてもいいように思います。とにかく、広く、多くの人に、シロアリの知識のみではなく、協会の名前を覚えてもらわなければならないのですから。