ブックタイトルagreeable 第21号(平成24年1月号)

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概要

agreeable 第21号(平成24年1月号)

号) 過量性の判断については政省令、ガイドライン等で具体的な基準は定められていないので個々の事案に応じて判断すべき事項とされています。? 判断要素  販売業者に対する過量販売解除権は販売業者に適合性原則に基づく配慮義務として過量販売に当たる勧誘をしてはならないという行為規範であると考えて規定されたものです。したがって過量販売解除権における過量性の判断にあたっても、定量的に判断するだけでなく、当該取引が適合性原則に照らして適切な取引といえるかどうかという点からも検討する必要があります。? 判断基準? ‐1 適合性の原則 商品・役務の性質や申込者の家族構成から日常生活において通常必要とされる量を超えるかどうかということと、具体的に申込者の知識・経験・財産状況等、契約を締結する目的に照らして適合した分量であるかどうかという点からも申込者の日常生活において通常必要とされる量を超えるかどうか検討が必要です。また数量的には多いといえない場合でも高額である場合には、支払能力を明らかに超えるような与信を行う結果となるケースでは、当該購入商品の分量は、通常必要とされる分量を著しく超えるものに当たると解されます。? ‐2 「著しく(超える)の解釈 公序良俗違反における無効は販売業者側の反証を全く許さないものです。対して過量販売における解釈は、販売業者側の反証により覆されるものであることから過量販売解除における「著しく」の解釈は前者のような強い違法性は要求されていません。したがって、販売業者が通常の判断能力をもって注意すれば、当該取引が購入者の日常生活において通常必要とする量を超えていると判断出来る場合であれば、過量販売に該当すると言えます。④効果(特商法9条の2第1項注書本文、9条の2第3項)? 事業者は消費者に対し損害賠償、違約金の請求をすることができません。(同法9条3項)? 商品の引取り等に関する費用は事業者の負担となります。(同条4項)? 事業者は消費者に対し商品等の使用利益を請求することができません。(同条5項)? 役務提供事業者は受け取った金銭を速やかに返還しなければなりません。(同条6項)? 役務提供に伴い消費者の土地・建物等の現状が変更された場合(工事など)でも消費者は役務提供事業者等に対して無償で原状回復を求めることができます。(同条7項)? 消費者に不利な特約(たとえば過量販売解除権をあらかじめ放棄させる旨の特約など)は無効とします。(同条8項)⑤行使期間 契約時より1年(特商法9条の2第2項)なおこの期間経過後でも民法(詐欺・錯誤、公序良俗違反等)等の他の法律により契約を解消することは可能です。⑥個別クレジットを利用した場合 売買契約、役務提供契約だけでなく、個別クレジット契約も解除することができます。(割販法35条の3の12)⑦行政処分(特商法7条3号・8条)主務大臣は事業者の行う過量販売により、訪問販売にかかる取引の公正および購入者、役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、事業者が特商法7条の指示に従わないときは、当該事業者の訪問販売に関する業務の全部または一部について業務停止を命ずることができます。⑧民法90条との関係 判断の要素 過量販売撤回・解除における「過量」に該当するか否かは、通常必要とされる量を超える取引であるか否かによって判断(購入者の主観は考慮する必要はない)。契約が公序良俗違反に該当するか否かは、契約内容が社会的に相当か否か(暴利行為である等)、契約締結過程が社会的に相当か否か(判断能力、強引な勧誘行為などがなされていないか)などさまざまな事由を考慮して総合的に判断されます。(以下次号)9 agreeable vol.21 january 2012/1