ブックタイトルagreeable 第21号(平成24年1月号)

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概要

agreeable 第21号(平成24年1月号)

学ぶ。第3時ではシロアリの成長の様子と階級分化、シロアリの行動ではワークシートにボールペンで線を描きシロアリを歩かせてみる。第4時ではシロアリの腸内を顕微鏡で観察してスケッチし、食物連鎖では自然界におけるゴミ問題を合理的に有効再資源化して解決している生物であることを教える。▼生徒はシロアリの害虫としての側面だけでなく新たな認識を得ることができた。シロアリの授業を通して生徒に伝えたかったのは、シロアリは害虫の代表のように言われるが、実はさまざまな工夫を凝らした生活様式を持つ興味深い昆虫であり、地球環境問題に関わり分解者的役割を果たしている生物である。環境教育の教材として適した生物は外にもいろいろあるがシロアリは生徒の興味を十分に満たし生物同士のつながりや地球環境全体を考える足がかりとして最適の生物である。これからもシロアリの授業は続けていきたい。研究発表会沖縄県における白蟻被害有限会社ダイコク国吉 光則 氏▼沖縄県は高温多湿のためイエシロアリ、ヤマトシロアリ、カンザイシロアリ、コウシュンシロアリにとって最高の棲み家になり一年中活発に活動していて、年中シロアリ防除工事が行われている。被害が特に多いのはイエシロアリによるもので新築後1?2年で被害にあっている。▼一般的に最初に気づくイエシロアリの被害は畳の被害である。また沖縄県において建物内部の土間はコンクリートスラブで施工され、ほとんど光、風を嫌うシロアリにとっては最高の棲み家となり水分の摂取、本巣を形成するのに適した場所となっている。▼被害事例では店舗のアルミサッシのコーキング部分にイエシロアリの被害を受けそこからイエシロアリの群飛があった。沖縄県ではコーキングを食害して建物に侵入するケースが多い。また、電気ケーブルを侵入経路とすることもよく見られ、玄関のインターフォンやテレビモニター等の電気系統が使用できなくなる事例が少なくない。あるホテルではイエシロアリが天井に巣を作り室内のジュウタンを食害、ベランダの水分を利用して侵入している。マンションの9階にも侵入して建物内部を食害している。イエシロアリは土壌中の水分に関係なくベランダの雨水などを利用して建物内部を食害する被害事例が多くなっている。建物以外の被害ではプレジャーボートの被害がある。生立木の被害はイエシロアリによるものが多いが他にコウシュンシロアリによるものも多い。街路樹のイジュ、ホルト、桜などはコウシュンシロアリが好んで食害している。ダイコクシロアリの被害は沖縄独特の瓦葺建物によく見られ軒の支柱、雨戸、外壁、畳等に被害を与える。アメリカカンザイシロアリも発生しているが、ダイコクシロアリのように駆除が簡単にはいかない。▼沖縄県には多くのシロアリが生息し食害を与えているが、住環境の変化に伴って、シロアリの生息状況、活動も変化してきている。確実に防除を行うにあたっては環境に配慮した薬剤選定、処理方法を考えていかなければならない。首里城復元工事に参加して住宅ケンコウ社沖縄平井 佑昌 氏▼首里城は沖縄戦で建物は全て破壊したが昭和32年頃から首里城周辺の守礼門、円覚寺などの復元・修復が行われ、平成4年には首里城正殿を含む北殿、南殿、番所、奉神門など往時の首里城景観が蘇った。▼首里城復元工事での白蟻仕様書は特に木部予防処理については防カビ剤を加えることとされた。施工は2度塗り、㎡あたり約250㏄を塗布した。土壌処理は正殿がシート工法、北殿、南殿、番所、奉神門が粒剤処理、広福門は散布処理であった。首里城正殿の工事は平成2?4年にかけて行われた。初期の正殿の防蟻処理は大径木の丸柱・梁・桁などが主で非常に大きな材であり転がしながら塗布した。貫・床板などは数量を計算し施工日を入れて薬剤料を算出した。使用した薬剤は大型建築でもありドラム缶での購入であった。▼首里城公園内のすべての建築物の白蟻防除の管理は平成10年より首里城管理財団から沖縄県白蟻防除事業協同組合が請けている。施工方法は薬剤散布と管理型ベイト工法の併用である。首里地区はイエ・ヤマト両方の生息が盛んで防除処理を受け17 agreeable vol.21 january 2012/1