ブックタイトルagreeable 第22号(平成24年4月号)

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概要

agreeable 第22号(平成24年4月号)

せんが、ここでは、もう一方の議論であります原発事故に関わることで盛んに叫ばれている放射線被爆について考えてみましょう。 放射線…日常生活では聞きなれない言葉です。しかし、その日常で放射線を浴びている例があります。健康診断のレントゲンがそれですね。これも放射線です。さて、その注意点を思い返してみてください。…思い出せますか?おおむね以下のような注意事項が書かれていると思います。● 指示あるまで入室しないで下さい。● 入室後は職員の指示に従って下さい。● 機械器具に手を触れないで下さい。● 妊娠または妊娠の疑いのある方は、職員に申し出て下さい。● 放射線障害防止について、不安がある場合は、必ず事前に職員に申し出て下さい。● その他、わからない事は聞いて下さい。 さて、レントゲンは安全ですか?注意事項にあるとおり、ある種の状況にある方は(4番目)注意しなければいけません。胎児は細胞分裂がさかんな状況で、そこに弱いながらも放射線があたると何らかの悪影響が及ぶ可能性を否定していません。詳しい話は専門ではないのではぶきますが、このことから、原発事故由来の放射線被爆は深刻な懸念といえますし、良い方向に解決されていくことを切に願うばかりです。化学物質の安全性 さて、本題です。前段が長くなりましたが、安全という言葉がある意味で相対的に考えなければいけないということはおぼろげながらご理解いただけたと思います。もう少し難しい言い方をすると、利益とリスクを比較して、判断をしなければいけないということです。 前回の記事で引用した化学物質「塩:塩化ナトリウム」と「ペルメトリン」という殺虫剤を見てみましょう。 世の中で取扱いされている物質には、製品安全性データシートというものが必ずあります。そこには様々な化学物質としての情報が記載されています。その中で、急性毒性の部分を抜き出してみます。 さて、ここで面白いことに気づきませんか?経口の毒性値では、殺虫成分ペルメトリンの方が少ない値ですから、毒性は高いことになります。一方、経皮では、塩化ナトリウム(塩)の方が数値が小さいので、こちらの方が毒性が高いということになります。さて、どちらが安全ですか?それともどちらが危ないですか? ペルメトリンの経口の値は小さくて、これは…というお気持ちが出ると思います。しかし、日常生活の中で、皆さんはどちらの化学物質により多く接していますか?塩はほぼ毎日、ある程度の量を様々な食物を通じて摂取します。ペルメトリンはどうでしょう?農薬用途であったり、害虫駆除などで使用されたりしていますが、日常の生活の中で、大量に継続的に摂取することはありません。 ここまででご理解頂けましたでしょうか?交通機関のところでも書きましたが、化学物質の安全性も、総合的に考えなければいけません。一概に数値だけで図れるものではなく、その使用目的と、使用頻度、そして、それそのものが持つ毒性値を総合的に判断して考えられ、使用してはいけないものなのです。 さて、次回は本誌の主題の一部であります白蟻防除薬剤に関して踏み込んでいきたいと思います。塩素ChlorinナトリウムSodium塩の構造式(無機物質)OOOH2CCCHC CHHC CCICIH3CCH3ペルメトリンの構造式参考経済産業省 化学物質審査規制法農林水産省 農薬取締法文部科学省 放射線量等分布マップhttp://ramap.jaea.go.jp/map/map.html項目塩化ナトリウムペルメトリンラット 経口LD50 = 3000mg/kg LD50 = 195mg/kgマウス 経皮LD50 = 4000mg/kg LD50 > 5000mg/kg*経口: 口からその物質を摂取した場合の、半分が死に至る体重1kgあたりの量*経皮: 皮膚から吸収された場合の同様の値両方とも少ない数字ほど、毒性が高いと考える。前回の11頁、塩の構造式に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。水素HydrogenナトリウムSodium塩の構造式(無機物質)(誤)塩素ChlorinナトリウムSodium塩の構造式(無機物質)(正)11 agreeable No.22 april 2012/4