ブックタイトルagreeable 第22号(平成24年4月号)

ページ
15/22

このページは agreeable 第22号(平成24年4月号) の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

agreeable 第22号(平成24年4月号)

  慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる物件④ 記念物〔特別史跡、特別名勝、特別天然記念物〕〔史跡、名勝、天然記念物〕〔登録記念物〕   遺跡でわが国にとって歴史上または芸術上価値の高いものや、庭園、橋梁その他の名勝地でわが国にとって芸術上または観賞上価値の高いもの⑤ 文化的景観〔重要文化的景観〕   地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で、わが国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの⑥ 伝統的建造物群〔重要伝統的建造物群保存地区〕(これも検査対象になります)   周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの⑦ 埋蔵文化財 土地に埋蔵されている文化財 これらの中から重要なものや価値の高いものを選んで、国や県が法律を定めて重点的に保護しますが、そのうち国が重要と認めたものは国指定、県が認めたものは県指定、市が認めたものは市指定となります。((社)日本しろあり対策協会発行「文化財建造物の蟻害腐朽検査マニュアル」参照)参考のために、文化庁文化財部伝統文化課「地方の文化財」都道府県別文化財及び記念物の件数(表2・表3)を載せておきます。静岡県の文化財建造物 それでは、いま私たちの取り組んでいる静岡県内の有形文化財(建造物)は、どのくらいあるのでしょう。前表で、国指定のものは33棟、又、県教育委員会文化財保護課によれば、県指定文化財は50棟あります。残念ながら市町指定のものになると、それぞれのHPにアクセスしなければなりません。一度調べる必要があるでしょう。むしろ、これらの文化財の方が手当てが遅れていると思われます。いままでの私たちの検査で、その傾向はよくわかっています。文化財の建物は特殊で、複雑で随分手がかかっています。それだけに、修理、修復をするには、大きな経済的負担がかかります。一般住宅のようにはいきません。予算規模の小さな自治体では、その負担はより大きくなります。20年前であれば何とかなっていたかもしれませんが、現在文化財を取り巻く経済的、技術的環境はシビアです。しかし、こういう文化的遺跡の危機の時代こそ、私たちの出番だと思うのです。勿論、地域の住民が、地域の文化財は自分たちが守るという、強い思いが必要ですが…。 社団法人日本しろあり対策協会は、来年度の公益社団法人化を目指しています。その公益目的事業の柱に、この文化財等蟻害・腐朽検査が入っています。まさに、いま私たちが立たなくてはならないのです。文化財建造物と一般住宅 ここで、文化財建造物と、一般住宅との被害の相違を、簡単に列挙しておきます。① 文化財建造物は、多くが山の中腹やその麓、あるいは平地であっても林などに囲まれており、湿度も高く水も近い。一般住宅に比して、より蟻害・腐朽は大きくなりやすい。② 文化財建造物は構造的に、土台の位置が土に近いので、より被害を受けやすい。③ 文化財建造物は構造材に広葉樹(ケヤキ等)を使用したり、また大径木の材が使用されることが多いので、木材食害性昆虫(キクイムシ類、カミキリムシ類、シバンムシ類)の被害が多い。④ 文化財建造物は築年数が長いので、ほとんどの建物が多かれ少なかれ被害を受けているが、その大部分は古い被害である。現在も進行中の被害は、比較的最近復元されたものや修理された建物に多い。⑤ 所有者が個人であったり、小さな自治体であったりすると、前記したように、防除、修理の必要性は理解していても、経済的理由からメンテナンスが行われていないものも多い。逆に、常時居住していない建物も多く、不具合が見逃されているケースもある。⑥ 文化財建造物は築年数が長くなるごとに、蟻害よりもむしろ腐朽の方が重要視される。災害と防蟻・防腐対策  「東日本大震災1年」“文化財 復興目指す心の支えだ”という社説が、3月10日の静岡新聞に載りました。静岡県は震災の復興を、他人事のように見ているわけにはい13 agreeable No.22 april 2012/4