ブックタイトルagreeable 第22号(平成24年4月号)

ページ
18/22

このページは agreeable 第22号(平成24年4月号) の電子ブックに掲載されている18ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

agreeable 第22号(平成24年4月号)

きません。30年前から、明日大地震が起きてもおかしくないと言われ続けてきました。近い将来、発生が懸念される東海地震災害を防止するために、「大規模地震対策特別措置法」が制定されたのです。社説によると、静岡県教育委員会は専門家、市民と連携して文化財を地震から守る独自の体制づくりを進めているとのことです。県教委は2006年、東海地震に備え県文化財防災マニュアルを作成し、新たに文化財の正確な所在把握、被災後の迅速な救済に向け、美術館や大学研究室、NPO、静岡、浜松両政令市などを構成員とする「県文化財救済ネットワーク」の本年度内設立を目指しているというのです。文化財は地域の文化や歴史を示す大切な建造物、史料だ。しかし、地域の財産、誇りでもあると考えているのです。文化財の救済にボランティアは欠かせない、ボランティアは文化財の価値を認識しておかなければならない。 この社説を読んで思ったものです。私たちは文化財の価値を認識しているし、木造建築の倒壊や破損にシロアリの被害・腐朽が大きく関わっていることも知っています。また、その予防措置を取ることもできます。その一段階がこの「蟻害・腐朽検査」であると考えています。文化財の現状が把握できていなければ、何も手を打つことができないのです。県独自の文化財簡易耐震法を普及してもらいたいと社説は結んでいますが、その中には「防蟻・防腐対策」が入っていなければなりません。今年度の調査実施 さて、先号でも書きましたが、実施日の選定にはやはり充分な配慮が必要です。今年は4月6日(しろありの日)に決定していますが、検査対象にはかなり有名な桜の名所があり、建物も一般公開している所もあります。「桜まつり」をやっているところもあります。車が近くまで入れず、検査道具を手搬入しなければならないし、かといって入場者に迷惑をかけることは絶対に慎まなければなりません。事前にメディアに協力してもらい、告知を図ることも必要でしょうし、現場に告知看板を置くことも必要です。今回これらの条件を知りながら4月6日(しろありの日)を選んだのは、やはり県内で一斉に行い、私たちの活動を他の建築関連の人々や一般の人たちに知ってもらうと同時に、文化財に対する強い関心をもってもらいたいと思うからです。そういう強い関心がまずなければ、私たちの歴史の財産である文化財は守ることができません。 また、繁忙期前に実施してしまえば報告書の作製にも余裕ができます。4年間かけて私たちが学んだのは、検査テクニックだけではなく、その後秋に計画している「報告会」の重要性です。一昨年までは協会内の勉強会になっていましたが、それだけではこの「蟻害・腐朽検査」は完結しない、県内の多くの人々に理解されてこそ完結するのです。昨年から一般にもオープンにし、「おもしろいムシの話」などの講演も同時に行いました。しかし、何せ繁忙期の6月4日に検査を実施したものですから、報告書の作製に時間がかかり、逆に「報告会」の告知に充分な時間をかけることができませんでした。今年は充分な時間をかけて告知をすることができます。加えて、今まで静岡市1ヶ所だけでやっていたものを、東部、中部、西部3ヶ所で行い、行政、地域の方々や、建築に携わる方々にもご参加をお願いしようと考えています。この事業の意味が一般の方々に理解されるようになれば、文化財はきっと守れるようになるでしょう。ひいては自分の住宅にも強い関心を持ち、その長期寿命化を考えるに違いありません。文化とは発展するばかりではなく、残すことも文化なのです。このような諸々のことを考え、天秤にかけて4月6日(しろありの日)を実施日としました。一番簡単なのは対象物件だけを選定し、協会員に投げて都合のいい時にやってもらうことですが、それでは本来の目的を果たせません。業者間の技術交換、情報交換も大きな目的ですし、告知が難しい。当面は県民の方々に私たちの事業を知ってもらうことに精力を注ぎたいと思っています。検査完了までの流れ さて、ここで出発点に戻り、実際に「文化財蟻害・腐朽検査」がどのような流れで、どのように行われているのかを整理しておきましょう。① 検査対象の募集(この時点で検査日は決定しておきます)   静岡県では県教育委員会文化財保護課にお願いして、市町のagreeable No.22 april 2012/4 16