ブックタイトルagreeable 第23号(平成24年7月号)

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概要

agreeable 第23号(平成24年7月号)

(はじめに) 企業の不祥事が明らかになると必ずといって良いほどコンプライアンスがさけばれる。泥棒にも三分の理と言われるように我々の行為には必ず理由がある。この行為自体が社会の常識に照らして真っ当であるかどうかが問題である。しからば社会の常識とは何ぞやということになると人それぞれの立場、考え方、思想等々によりすべての人に通用する考えであるのかどうかとなるとあやしい常識もあるように思われる。たとえば規則や法令に違反していないから良いのではないかと考えている人達にとっては、あるお笑い芸人の親の生活保護受給の一件、大物と言われる政治家の土地購入疑惑、大手企業会長のとばくによる浪費のための資金調達方法、などは世間のひんしゅくは買うけれども、時間の経過とともに過去の出来事として忘れ去られる事例である。 しかしながら、これが営利企業であった場合はどうかということになると、社会から信頼を問われることになり、最悪の場合は、存続の危機におち入ることにもつながるのではないだろうか、また産地偽装、食材の使い廻し、賞味期限の改竄などは法令、規則以前の問題として、これらの事が発覚した場合も世間から見捨てられることになる。 一方専門家集団の場合、特に弁護士、検事等の法曹関係者、公認会計士、税理士、医療従事者、教育関係者等の一般に先生と呼ばれる人々の場合を考えてみると、これまた難しい問題を内包していると考えられる。すなわち弁護士の場合を例にとると、法律さえ守れば立場を利用して何をしても良いのかというとそうはいかない。(一部には立場を利用して営利企業まがいの事をやっている輩のいることは承知している。)選挙で選ばれた政治家の場合も同様で自身の役割、立場を充分理解した上で公正、公平、透明性をもって行動すべきである。(コンプライアンスとは) 前置きが長くなりましたが、何を言いたいかといいますと、なぜコンプライアンスなのか、コンプライアンスとはいったいどういう意味内容のものなのか、コンプライアンス遵守とは、遵守するとは本来個人個人であるから、これが個人に向けられたもののようなイメージが強くなるが、コンプライアンスの中心にあるのは組織的な対応手法であるということです。したがって個人的な課題とか、個人の哲学として位置づけられるものではないのであるからあくまでも企業において組織全体アペックス(株)  坂本 輝美「倫理方針などに従うことが組織にとってプラスになった」 1982年9月30日ジョンソン&ジョンソン(J&J)は、同社製のタイレノールを服用した人が死亡したとの報告を受けた。同社は、直ちに同じ工場で生産していた9万3千本のタイレノールを回収したが、その後、死亡原因が毒物混入によるものであることを確認した。同事件に関し、J&J は、FBI とFDA よりタイレノール回収は望ましくないとの助言を受けていたが、カリフォルニアでも同様の被害者が出たため、同社は、自主的に全米規模のリコールを実施した。その数、何と3200万本、小売価格で言えば1.2億ドル(日本円で96億円)に達するものであった。アメリカではこうした英断がその後も消費者の間で語り継がれ、またビジネス・スクールでも紹介され続け同社の競争力の源泉となっている。 「どんな組織でも倫理に関しては不完全である」というのが現実です。それゆえ「そうした不完全さを認めるがゆえに企業は日々努力を続けなければならないこと」「また努力の積み重ねがあってこそ、トップの英断や会社としての判断に迷いや、ぶれが無くなること」の啓蒙が必要である。実例(1)コンプライアンス理念の構築 ? 安全で安心な社会をめざして ?第一回agreeable No.23 july 2012/7 10