ブックタイトルagreeable 第23号(平成24年7月号)

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概要

agreeable 第23号(平成24年7月号)

 上野駅からJR常磐線に乗り約1時間、牛久駅で降りバスで10分ほど、緑豊かな林のなかの独立行政法人森林総合研究所に着きました。ここはつくば研究学園都市。正門を入り、けやき並木の緑のシャワーを浴びながら研究本館に向かいました。 「こんにちは。」木材保存研究室主任研究員の大村和香子さんが出迎えてくれました。 大村さんは、この研究所で唯一のシロアリ専門研究者です。 早速、研究室に案内され、話を伺いました。(写真1) まず、どんなシロアリを飼っているのか見せてもらうことにしました。 「今は、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、それとネバタオオシロアリですネ。」 シロアリはアクリルの飼育ケースで飼育されていました。 「コツコツと音がしていませんか」。耳を澄まして聴くと確かに微かな音が聞こえます。シロアリは強い光や物音などに反応して壁や地面に頭を打ち付けるヘッドバンキングという行動をとるそうです。この音はわれわれの気配に反応した物音のようです。 ところでシロアリは何でも食べてしまうと聞きますが、ケースを破って逃げ出したりしないのだろうか。 「イエシロアリは、ポリエチレンだと穴をあけて逃げられます。以前にもネバダオオシロアリに逃げられたことがあります。アクリルだったら大丈夫です。」 飼育ケースの中に他のシロアリと比べ、ひときわ大きなシロアリがいました。 「ネバダオオシロアリです。兵庫県の川西市の山中でシロアリ業者さんが見つけたのを、紹介してもらって写真1 研究室内 シロアリは住居を食い荒らし、人間生活の悪役という印象があります。一方で、木材を食物とすることで野外の物質循環に大きな役割を果たし、益虫としての働きもしています。さらにシロアリは社会性昆虫ともいわれ、その生態は教材にさえ使われています。今日では、シロアリの生態や駆除技術、防除薬剤の研究が進み、社会性についてもかなり解明されてきています。そんな、シロアリの研究はどんなところで行われているのか、実際にシロアリを飼って研究している現場に行ってみることにしました。百聞は一見に如かずです。? シロアリの研究現場へシロアリ飼育 研究現場訪問17 agreeable No.23 july 2012/7