ブックタイトルagreeable 第23号(平成24年7月号)

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概要

agreeable 第23号(平成24年7月号)

ながら、技術指針が示す、建設地別の防腐・防蟻処理並びに防腐処理及び土壌処理の適用区分(表1)は必ずしも現在のしろありの活動実態を反映していません。そのため、しろありの活動が盛んで土壌処理によって地下からの侵入を阻止すべき北陸や東北地方の各県において、土壌処理が不要とされています。このような地域で省エネルギー性能を高めるため基礎断熱工法が導入されています。地面に埋設された断熱材はしろありにとって、格好の侵入経路になるとともに、いったん侵入すれば冬期においても十分活動可能な温度環境が維持されていることから、それらの地方に生息するヤマトシロアリであっても大きな食害をもたらし、断熱不良だけでなく、構造材の接合部を食害し、構造耐力に影響を与えることが見受けられるようになっています。社団法人日本しろあり対策協会では、しろありの活動実態を反映した地区区分(表2)を作成しており、技術指針の地域区分の改訂を検討しているところです。 さて、建物を維持管理していくにはどうすればいいでしょうか?計画的な点検と補修の計画とその費用の積み立てが必要になります。皆様はいかがされていますでしょうか?分譲マンションでは1962(昭和37)年施行の「建物の区分所有等に関する法律」いわゆる「区分所有法」によって管理組合を設置し、共用部分の長期修繕計画の作成とそれに充当する費用の積立を義務付けています。これによって、定期的な大規模修繕工事を実施し、建物の基本的な性能の維持、向上を図っています。戸建て住宅ではこれらを住まい手が自らの手で行わなければなりません。 ようやく2009(平成21)年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によって、戸建て住宅についても、住宅性能表示制度における建物の長寿命化にかかわる4項目(構造の安定、劣化の軽減、温熱環境への配慮、維持管理への配慮)を中心にその認定基準を定め、これらの性能を維持保全するために、構造上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分および給排水設備の点検時期とその内容を定めた維持保全計画の事前の策定が義務付けられました。しかしながら、これはあくまで長期優良住宅と認定される建物だけが対象になっています。ただし、その費用の積み立て等については依然として住まい手にゆだねられています。次回は長期優良住宅についてお話します。図1表1 建設地別の防腐・防蟻処理並びに防腐処理及び土壌処理の適用区分対 象区 分木 材土 壌加圧注入処理木材 (5参照)(4.1参照)現場で行う処理(4.2参照)Ⅰ沖縄、九州、四国、中国、近畿の各地方及び愛知、静岡の各県製材の日本農林規格1)の防腐・防蟻2種処理材以上塗布または吹付けによる防腐・防蟻処理土壌処理を行うⅡ 関東地方及び岐阜、長野、山梨の各県製材の日本農林規格1)の防腐・防蟻2種処理材以上、またはJI S 規格2)による木材塗布または吹付けによる防腐・防蟻処理ほとんどの地域で土壌処理を行うⅢ福井、石川、富山、新潟、山形、秋田、岩手、宮城、福島の各県塗布または吹付けによる防腐・防蟻処理一部の地域で土壌処理を行うⅣ 北海道地方及び青森県製材の日本農林規格1)の防腐3種処理材以上、またはJIS規格2)による木材塗布または吹付けによる防腐または防腐・防蟻処理必要に応じて土壌処理を行う(注)1)農林水産省告示第406号(昭和56年3月19日)。   2)日本工業規格A9108「土台用加圧式防腐処理木材」。   3)加圧式処理木材と現場で行う処理と併用する場合は、それぞれの区分による。表2 建設地の区分と処理方法種 別建設地の都道府県名処理対象木  材土  壌Ⅰ種地域沖縄、鹿児島、宮崎、大分、熊本、長崎、佐賀、福岡、高知、愛媛、徳島、香川、山口、広島、岡山、兵庫、大阪、和歌山、三重、愛知、静岡、神奈川、千葉、東京(伊豆諸島及び小笠原諸島)木材処理を行う土壌処理を行うⅡ種地域鳥取、島根、京都、奈良、滋賀、岐阜、長野、山梨、東京(伊豆諸島及び小笠原諸島を除く)、埼玉、茨城、栃木、群馬、福井、石川、富山、新潟、山形、宮城、福島、秋田、岩手、青森木材処理を行うほとんどの場合土壌処理を行うⅢ種地域北海道木材処理を行う必要に応じて土壌処理を行う5 agreeable No.23 july 2012/7