ブックタイトルagreeable 第23号(平成24年7月号)

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概要

agreeable 第23号(平成24年7月号)

 木材の化学組成は、細胞壁を構成するセルロース、ヘミセルロース、リグニンの主要3成分のほか、テルペン類やフラボノイド類、タンニンなどの抽出成分からなります。そのうちセルロースが約50%を占めます(表)1)、2)。 細胞壁の構造を鉄筋コンクリートの建物に例えると、セルロースが鉄筋、リグニンはコンクリート、ヘミセルロースが鉄筋とコンクリートのなじみをよくする針金に相当し3)、特にセルロースは細胞壁、ひいては樹木・木材の強度を保つために大きく寄与しています。1.木材の用途 4) 木材はそのまま建築材料(構造用材、合板等木質材料)として利用される以外に、紙・パルプとしての用途が大きな割合(平成21年度統計では、木材需要量6、321万?のうち約43%)を占めています。 紙は木材の主成分であるセルロースが、我々の最も身近に使用されている製品です。2.セルロースとデンプン 私たち人間は米や小麦を主食として、それらに含まれるデンプン(アミロースとアミロペクチン)を栄養として生きています。 一方、シロアリや木材腐朽菌は、人間も含めて多くの生物が利用できないセルロースを分解して栄養として利用できます。シロアリや木材腐朽菌は、それら自身が分泌する酵素、もしくはシロアリですと腸内に共生する微生物由来の酵素の働きでセルロースを分解することができます。 セルロースもデンプンも、ブドウ糖(グルコース)を構成単位する多糖です。セルロースとデンプンは、ブドウ糖どうしの結合様式が異なるだけで、全く違った構造と性質を示します。セルロースは直鎖状のがっちりした構造(図)のため、水と混ぜて沸騰させる程度では、その構造や性質は変化(変性)しません。しかし、デンプンでは水と混ぜて沸騰させると透明な糊状になります。森林総合研究所 大村 和香子木材の知識木材の性質 ?その1?第三回HOHOOOOHO3OH512HHO 65O HOOH4HOO1β O4H1O6HOO32OHOO4OH H図セルロースの化学構造図 セルロースの化学構造(文献3)より改変)── 化学編 ──表 木材の構成成分とその含有量セルロースヘミセルロースリグニン抽出成分針葉樹50%20% 30%5%以下広葉樹30% 20%(セルロース)引用・参考文献1) しろあり及び腐朽防除施工の基礎知識(防除施工士受験用テキスト)(2011)  (社)日本しろあり対策協会2) 木材の構造(1985)文永堂pp.2763) 木材科学ハンドブック(2006)朝倉書店pp.4354) 平成22年度森林・林業白書(2011)  URL:http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/   hakusyo/22hakusyo_h/index.htmlagreeable No.23 july 2012/7 6