ブックタイトルagreeable 第24号(平成24年10月号)

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概要

agreeable 第24号(平成24年10月号)

するそうです。その後、薬剤認定に必要な各種データ、例えば、鉄腐食性・吸湿性試験、安全性データ、気中濃度測定データ等を揃えて、認定を取得していくそうです。 それでは、本命のシロアリの試験室に向かいます。ここから5分ほど車を走らせるとシロアリを飼育し、効力試験などを行う研究所の分室がありました。1階には、飼育槽がありイエシロアリが飼われていました。シロアリ逃亡防止策として、巣の周囲に水を張っており、この方法によってシロアリは逃亡できず、また水分も確保できるとのことです。ここで飼っているイエシロアリは鹿児島産、広島産そして和歌山産との説明でした。その中には、スズメバチの巣のなかにイエシロアリが入った珍しいものも混じっていました。(写真2) 2階は試験室です。 薬剤の防蟻効果と安全性を試験するためには室内と野外の両方で試験を行う必要がありますが、ここではどんな試験をされますか? 「シロアリ防除剤を開発する際に、基本的な試験方法として土壌貫通防止試験(通称「H管試験」)があります。土壌処理剤の開発では最も大事な試験で、この方法で薬剤の性能を詳しく評価する必要があります。」 H管試験はH型構造の試験管を使うことから、そのように呼ばれていますが、試験の内容は次のようなものです。(写真3) 右側の管には土壌が、左側の管にはシロアリ用の餌が詰められています。水平の管は薬剤入りの土壌です。右側の管にシロアリ200頭を入れ、2週間以内に水平の管の右端の土壌から左側へ移動距離が2㎝以内でシロアリの貫通が止まり、かつシロアリが全頭死ねば、この薬剤は土壌処理剤として有効であると判定されるそうです。実際には1週間くらいで結果が分かるそうです。また、この試験は薬剤の処方検討や希釈倍率を設定する際によく実施する試験で、薬剤濃度をいろいろ変えて実験されるそうです。 薬剤の使用方法には100倍液とか200倍液とか記載されていますが、その根拠となるのがこの試験結果とのことでした。こうした試験は新しい薬剤を開発する時にだけ行うので、いつもこのような試験を行っているわけではありません。 ところで、この薬剤の開発から製品にして販売できるまでにはどのくらいの期間が必要なのでしょう? 「最低3年はかかりますね。野外試験が一番期間を要して2年はかかります。これはおもに鹿児島で行いますが、試験は外部に委託しています。」 室内試験は2週間くらいということでしたが、この場合は、シロアリを強制的に試験管内に放置するのに対し、野外では、設置した試験場所に自然に生息しているシロアリが来るのを待つわけだし、木材を食わせるのにも時間がかかるので写真3 土壌貫通防止試験(H 管試験)写真2 シロアリ飼育槽シロアリの研究試験室15 agreeable No.24 october 2012/10