ブックタイトルagreeable 第25号(平成25年1月号)

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概要

agreeable 第25号(平成25年1月号)

 鹿児島県しろあり対策協会は、公園樹木の蟻害調査駆除事業を15年間行っています。公園樹木の蟻害調査では、樹木の被害調査と営巣の掘り出しを行います。なぜ、営巣の掘り出しを行うようになったのか、そのキッカケとなったイエシロアリ研修会を紹介し、その後、公園樹木の蟻害調査で行った営巣の掘り出しを紹介します。 イエシロアリ研修会のキッカケは昭和61年に使用薬剤がクロルデンから有機リンに変更になり駆除工事後の被害が増加し駆除方法の見直しが行われました。若年者から技術が高い熟練者の工事方法を学びたい機運が高まり、熟練者からは技術を公開し業界の向上につなげたい声が伝わってきました。研修会は、清水一雄氏、亡くなられた児玉純一氏が技術指導を行い、平成12年1月鹿児島県吹上浜、平成13年4月鹿児島県阿久根大島で九州と愛知県の防除業者が参加して行われました。吹上浜の研修は38名が参加し7班に分かれ松林に入りイエシロアリの営巣を探し3個の営巣を取り出して解体しました。見立てがはずれ空巣もありました。2個の営巣は王台や幼虫がなく分巣と判断しました。1個の営巣からは女王が見つかりました。阿久根大島での研修は平成13年4月に行われました。26名参加し、吹上浜と同様にグループで営巣を探しました。5個の営巣を取り出して解体を行いました。3個の営巣に王台があり幼虫も確認、4個目に女王を採取、5個目に女王と王を採取しました。このイエシロアリ研修会をキッカケに鹿児島県協会の公園樹木蟻害調査でも営巣の取り出しが行われるようになりました。 公園樹木の蟻害調査で行った営巣取り出しを紹介します。平成12年4月に吹上浜海浜公園で調査を行い、7?8年のイエシロアリ営巣を取り出しました。この営巣は関西のメーカーに譲渡し現在も飼育されています。現在約20年生息しており国内で最年長の飼育営巣と推定しています。平成13年4月に鹿児島県立薩南病院の蟻害調査では1個の営巣を掘り出し女王を取り出しました。平成14年4月鹿児島県立南薩少年自然の家での蟻害調査では3個の営巣を取り出しました。平成18年4月鹿児島県立錦江湾公園では1個の営巣を取り出しました。平成21年4月くにの松原キャンプ場での蟻害調査では3個の営巣を取り出し、そのうち1個の王台近くからターマイトボールを見つけました。平成24年4月鹿児島県緑地公園での蟻害調査では1個の営巣を取り出し女王を採取しました。 鹿児島県しろあり対策協会では公園樹木の蟻害調査でイエシロアリ営巣の取り出しを数多く行ってきました。通常の駆除工事では修復費用などの制限、ベイト剤による駆除の増加などから営巣取り出しの機会は少なくなっています。若手の技術育成の場として、今後も蟻害調査での営巣取り出しを続け、近いうちに王の採取が行えることを期待しています。◎イエシロアリ営巣探索技術向上への取組発表者 有限会社 鹿児島シロアリ 井戸口 広行 氏15 agreeable No.25 January 2013/1