ブックタイトルagreeable 第32号(平成26年10月号)

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概要

agreeable 第32号(平成26年10月号)

◎ 公共建築物の木造化(木材利用のすすめ1) 製材用材の約8割は建築用途であり、とりわけ木造住宅の着工戸数と密接な関係にあります。しかしながら、新設住宅着工戸数は昭和48(1973)年の191万戸をピークに長期的には減少傾向にあり、このことが木材需要量の低下を招いています。平成24年の新設住宅着工戸数は88万戸、そのうち木造住宅は49万戸、木造化率は55%ですが、1戸建住宅だけでみると木造化率は87%と高い水準にあります。また、木造住宅の75%が在来工法、22%がツーバイフォー工法となっています(図10)。 国産材の利用拡大には、住宅着工数の拡大だけでなく、学校などの公共建築物の木造化の推進が望まれます。内閣府の平成23年の森と生活に関する世論調査では木材利用がのぞましい公共施設として、小中学校などの校舎や学校施設、病院医療施設や老人ホームなどの福祉施設、公園などの遊具が高い比率で木材利用が望まれています(図11)。 我が国の公共建築物における木造化率は建築物全体に比べて低く、平成23年度に新築・増築・改築を行った建築物のうち、木造のものの床面積の割合は、建築物全体では41・6%であるのに対して、公共建築物では8・4%にとどまっています。 公共建築物における木材利用が少ない理由として、戦後、火災に強いまちづくりに向けて、耐火性に優れた建築物への要請が強まるとともに、戦後復興期の大量伐採による森林資源の枯渇や国土の荒廃が懸念されていたことから、国や地方公共団体が建築物の非木造化を率先して進めてきたことなどが指摘されています。木造の耐火構造や耐火技術の開発、耐震性能の向上も著しいことから、今後は国などが率先して公共建築物の木造化に取り組む必要があるといえます。◎ 木材利用ポイント事業(木材利用のすすめ2) 林野庁は、国産材の利用推進のために平成24 年度補正予算により、「木材利用ポイント事業」を新たに開始しました。同事業では、スギ、ヒノキ、カラマツ等の木材を活用した木造住宅の新築、増築又は購入や内装又は外装の木質化工事並びに木材製品、木質ペレットストーブ及び薪ストーブの購入に対し、「木材利用ポイント」が付与されます。同ポイントは、地域の農林水産品等、農山漁村地域における体験型旅行等との交換、森林づくり・木づかい活動への寄附等に活用できるものとなっています(図12)。 平成25年7月から同ポイントの発行及び交換の申請受付が始まり、平成26年3月末現在で、45、913件、約128億ポイント(1ポイント1円相当)の申請があり、うち36、792件、約96億ポイントが発行されています。本事業は平成26年度も継続されて実施されています。◎ 木質バイオマスのエネルギー利用(木材利用のすすめ3) 木材は、昭和30年代後半の「エネルギー革命」以前は、木炭や薪の形態で日常的なエネルギー源として多用されていました。近年では、再生可能エネルギーの一つとして再び注目されています。最近では、主に、木材を小片に切削し、又は破砕した「木材チップ」や、おが粉等を圧縮成形した「木質ペレット」の形態で、木材のエネルギーとしての利用が進められています。木質ペレット図10 新設住宅着工戸数と木造率の推移図11 木材利用が望ましい公共施設について大阪市立大学生活科学部 土井 正我が国の森林資源の現状地球温暖化時代─ 環境を考える 第7回後編agreeable No.32 October 2014/10 12