ブックタイトルagreeable 第32号(平成26年10月号)

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概要

agreeable 第32号(平成26年10月号)

に基づき、平成24年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入され、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気を対象として、電気事業者が買取りに必要な接続や契約の締結に応じる義務を負うことになっています。 木質バイオマスから発電された電気の買取価格(消費税相当額を含む)は、平成24年度には「間伐材等由来の木質バイオマス」を用いる場合は33・6円/kWh、「一般木質バイオマス」は25・2円/kWh、「建設資材廃棄物」は13・65円/kWh、買取期間は20年間とされています。 RPS 法に基づく認定を受けた木質バイオマスによる発電施設は、平成24年3月末時点で全国に56か所あり、そのうち出力規模が1、000kW以上の施設は43か所となっています。このほか、RPS 法の認定を受けずに、自家発電等により木質バイオマスを利用する動きもみられますが、買い取りは形を変えた補助金であり、補助金がなければ成り立たない施設はエネルギー的には成り立たない不健全な施設といえます。標準的な送電出力5、000kWの発電所の場合、未利用材を燃料として年間約10万?の間伐材等が使用されると試算されますが、毎年約2、000万?発生する未利用間伐材等を消費するには同規模の発電所が200か所必要になると算出されます。 スウェーデンではすでに木質バイオマスによる商用発電が行われていますが、大部分は地域暖房に蒸気・温水を供給する地域熱併給事業と間伐材や森林残材などの収集コストなどが低いことで事業が成り立っています。スウェーデン南部のベクショー市(人口7万人)にある木質バイオマスによる熱併給発電所(写真1)を訪問した際、発酵による自然発火の危険性があるために木材チップの大量貯蔵が難しく、そのため搬入コストがかかるが、発電所の周りがすべて見渡す限り燃料畑(地平線まで見渡す限りの森林)だとの説明を受けて(写真2)、急峻な山地の日本では大規模化は難しいと妙に納得したものです。 スウェーデンにおける2010年の地域熱供給部門のエネルギー消費量は54TWhで、エネルギー消費量全体(395TWh)の約14%を占めています。一方、我が国では、「熱供給事業法」に基づき、主に都市部の全国約140地区で、廃棄物や廃熱等を熱源とする地域熱供給事業が実施され、年間約2・5万TJの熱が販売されていますが、同事業における熱源はおおむねガス、電気、石油及び石炭によるもので、木質バイオマスの利用はほとんどありません。 発電のために木質バイオマスの燃焼量が増加するにつれて新たな問題が生じます。大量に発生する木灰の処理の問題です。本来、森林に残されてきた枝や樹皮、その他未利用部分は自然の循環のなかでミネラルなどの栄養として森林土壌に戻るわけですが、そのような部分まで収奪されて燃料化されることで、森林土壌の栄養分が失われていくことになります。そこで、「花咲か爺さん」のように山に灰を撒かないといけなくなりますが、この時、その灰に含まれるカドミウムのような重金属による汚染の問題が起こる可能性があるのです。燃料とされた木材の伐採地ごとに燃焼灰が分別されて循環散布できれば自然循環と同じ結果になりますが、伐採地とは異なる森林に散布されると、新たな環境問題となるかもしれません。なお、図は林野庁編、平成26年度版森林・林業白書から引用しました。写真2 ベクショー市郊外に広がる森林(著者撮影)写真1 ベクショー市 Sandvik Plan(t 著者撮影)agreeable No.32 October 2014/10 14