ブックタイトルagreeable 第35号(平成27年7月号)
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agreeable 第35号(平成27年7月号)
あっという間に1年が経ちました。また春から初夏にかけて樹木にはいろいろの虫や病気が発生します。福岡市の我が家の庭は、樹木医になる前は5月上旬、8月下旬?9月上旬、1月下旬の年3回の殺虫剤及び殺菌剤散布を欠かさず実施していましたので、虫を見ることはほとんどなかったのですが。樹木医になって毎年の病害虫の発生・消長を確認するために殺虫剤・殺菌剤散布をやめた途端に、庭中、虫だらけになり、家内からは「会社名の樹木・病害虫防除コンサルタントの名前が泣いていますよ。」とも「木の医者の不養生。」とも言われています。5月?6月の殺虫剤散布は、初めて発生した幼虫駆除と成虫の産卵抑制・食害予防を行います。新しい葉が出るとそれを食べるハムシ類、ウメやモモ等の葉について吸汁するアブラムシ類やハダニ類、幼虫がムシャムシャ葉を食べて大きくなるケムシ類、幼虫だけには翅が有り、定着して親になると枝にへばり着いて吸汁するカイガラムシ類、弱った樹木の幹や枝に産卵して幼虫が内樹皮をかじるカミキリムシ類などなど多種多様な虫が出て来ます。今年、特に多いのはチャドクガ(写真1)で、ツバキ*1とサザンカ*2に大量発生してバリバリ、モリモリとツバキの葉が大半食べられてしまいました。道路側に落ちた糞でコンクリート・アスファルトが黄色くなっています(写真2)。チャドクガは雌の産卵の際に、卵を守るため自分の触毒毛をくっつけます(写真3)。産まれた幼虫も一列に並んで葉を食べるので触毒毛で天敵から自分たちを守る事になります(写真4‐1、写真4‐2)。幼齢が進むと分散して食害するようになりますが、多数の脱け殻が残ります(写真5)。触毒毛がついていますので、人の皮膚に触れると痒みが1週間以上も続きます。特に家族の衣服に紛れて洗濯すると被害が家中に広がり最悪の状況になります。我が家の前の道路を通る人が幼虫に触れると痒い被害が出るので、その場所だけはと薬剤(トレボンEW(エトフェンプロックス)+トアローフロアブルCT(バチルス・チューリゲンシス)の昆用)散布しました。両薬剤の残効性は約1ヶ月程度です。効果が切れる頃に梅雨に入ります。梅雨時期は虫にとって大砲の弾が空から降って来るので生長には不適切な時期となります。もう一つの大きな被害発生の状況を次に説明しましょう。5月?6月にはマツノザイセンチュウを運ぶマツノマダラカミキリの発生時期となります。クロマツ、アカマツをお庭に植栽されている方は、スミパイン乳剤100?200 倍液を5 月中旬、6月中旬の2回散布し、マツノマダラカミキリが忌避しマツの枝を齧らせないようにします。必ず散布して、夏以降のマツ枯れの発生を減少させましょう。(夏?秋に発生するとマツは短期間で枯れます。)8月?9月の散布は秋に発生する害虫に対する予防を主体として実施します。カキが植えられている庭で、秋に実が熟す前に柿のヘタが残ったままポトポト落ちる場合はカキノヘタムシガが食い入った為です。実際には5月中旬?6月中旬、7月中旬?8月中旬の年2回発生です樹木・病害虫について樹木・病害虫防除コンサルタント沖濱宗彦そ写真1 チャドクガの雌成虫写真2 被害と虫糞跡写真3 産卵状況agreeable No.35 July 2015/7 10