ブックタイトルagreeable 第35号(平成27年7月号)

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概要

agreeable 第35号(平成27年7月号)

本誌の前号(No.34)にて海外のユニークな最新防除機器を紹介しましたが、日本国内での新しい防除機器や調査機器の開発状況は一体どうなっているのか気になるところです。高気密高断熱への家屋構造の変化やアメリカカンザイシロアリやアフリカヒラタキクイムシを始めとする外来性木材害虫の侵入、ノンケミカル工法のニーズの高まりなど時代は変化しています。そのような中、これらに対応できる新しい商品の開発は進んでいるのでしょうか?いくつかの学会発表や学会誌、講座等で最新の防除機器の開発状況を読み取ることができます。今回は超音波というワードに焦点をおき、現在開発が進められ実用化が間近なものや基礎研究が進められているものについてご紹介をいたします。●超音波シロアリ検出器(1)(2)シロアリが木材を噛み砕く際に発生する超音波領域の音(AE波)は20kHz?80kHzで卓越周波数は40kHz?50kHzと報告されています。その超音波領域の音を検知することにより建物を食害しているシロアリの活動場所を非破壊で特定することができます。ここで紹介する超音波シロアリ検出器は、検出した超音波を可聴音に変換することで、調査している人にシロアリの生息を知らせることができます(図1)。既にAE波によるシロアリを探知技術は確立されており、探知の原理はそれと同じです。ただし、既知の検出器の場合、測定するためのセンサーを調査対象に対して固定する必要がありますが、この検出器はマイクロホンによりシロアリが齧った際に発生する超音波を集め検知する仕組みになっています。そのため、非接触での探知が可能であり、より簡単に調査を行うことができます(写真1)。ただし、服がすれる音など外来ノイズの影響も受ける可能性があることから、調査する際は極力体を制止させておく必要があります。実際にこの検出器で調査できる対象は、シロアリが摂食行動をしており、かつその部材が何にも覆われていない(厳密には空気層がない状態)むき出し状態でなければなりません。例えば、大壁造りの壁内や風呂場壁タイル下の柱等がシロアリに加害されている場合、そこから発せられる超音波は手前にある石膏ボードやタイル等の間に空気層があると、石膏ボード等の裏面に反射してしまい外へ超音波が漏れてきません。そのため、こういった加害部に対する探知にはむいていません。しかし、真壁造りや、小屋裏、天井裏、床下などの柱等がむき出しになっている構造を対象とする場合は十分に使用できます。特に私が活用できるのではないかと感じているのがアメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリなどのカンザイシロアリ類の調査です。カンザイシロアリは摂食する際に木材の表面の皮一枚を見事に残して加害するため、目視だけでの調査には限界があります。また、生息位置が高所であることも多いことから非接触で少し離れた位置から探知できる本機は大変魅力的です。そして、気になる個所にマイクロホンを向けるだけという操作が簡単なところも良いと思います。すでにほぼプロトタイプが出来上がっているようなので、早く実用化されることに期待が膨らみます。国も力を入れている中古住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取り組みが盛り上がりつつある昨今、より良く安心できる中古住宅を流通させるためにも、家屋の劣化に大きな影響を与えるシロアリの生息があるかどうかの判断は重要になってきます。家屋構造の中には目視や打診による調査だけでは、物理的に十分調査できない部分はたくさん存在します。そのためにもより簡単でより精度の高いシロアリ生息調査が求められていますので、こういった調査機器の開発は強く望まれます。環境機器株式会社川端健人シロアリ作業機器の話第7回国内における新しい防除機器類の研究・開発状況写真1 超音波シロアリ検出器による調査風景図1 シロアリ検出方法agreeable No.35 July 2015/7 4