agreeable 第52号(令和元年10月号)
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当時の薬剤と建築資材初心を忘れずおかげで現場の駆除工事や新築現場では難なく作業することができました。当時入社した会社が首里しろあり社で従業員であった五十代の先輩から基礎を学び新築では一人で作業し、駆除では三名体制で施工していました。当時のしろあり用薬剤はメルドリンという一斗缶の薬剤を使用していましたがシロアリ以外の害虫も駆除が出来たことから、衛生害虫駆除目的でシロアリ駆除するお客様も少なからずいました。その後、メルドリンからクロルデンへと薬剤も変わりはじめた頃、会社に営業担当が新たに入社し、新築現場が忙しくなりました。環境汚染するという事で自然界では分解しないクロルデンも昭和六十一年に使用が禁止となりました。その後、有機リン系薬剤に変わり薬剤価格も高騰する中、外国から建材が輸入され始めました。その中で価格が安価であったスプルース材が沖縄県内の新築住宅に使われるようになります。スプルース材は表面の節がなく、見た目がヒノキ材のように綺麗な木材でしたがシロアリには非常に弱く、更に沖縄でのコンクリート住宅土壌処理後の不備、当時の薬剤がコンクリートから出るアルカリ性に弱い事も重なり、当時の沖縄県の新築でのシロアリ被害が立て続けに発生していました。あまりの被害の多さに保険会社も取引を取りやめる程の問題になり、その影響で廃業する同業者もおりました。当時の建築資材はベイト工法に使われる餌木のような状態ではなかったのかとさえ思います。沖縄県のしろあり業界は厳しい状態が続いた時代でした。現在マイクロカプセル等の忌避性のない薬剤、ベイト工法もでき再発が落ち着いた現在、沖縄県のしろあり業界もシロアリ再発の経験がない世代が増えてきました。苦しい経験をした私どもとしてこれから担う後輩達には再発の怖さを伝えることもやるべき事の一つなのかも知れません。防具をしっかり身につけ、メンテナンスした道具で仕様書通りに薬剤を使用する、これが何より納得のいく仕事に繋がります。現場一筋四十年余、あっという間に過ぎてしまいました。現在も現場には携わっていますが、常に基本と謙虚は忘れずにいたいです。15agreeable No.52 October 2019/10現場社業風景現場社業風景               

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