家屋以外でのシロアリ探しシロアリ探しで出会う動物「美味しそう?!」朽ち木を割って出会う生物人間界でシロアリは家を食い荒らす害虫として名高いがために、シロアリは家屋で見つかるものと思い込んでいる人びとも多いものです。しかし実際には、家屋に居住しているシロアリよりも、森林など家屋以外の場所に生息しているシロアリの方が、圧倒的に個体数が多いのですよね。そこでシロアリの生態を調べている研究者の多くは、調査対象であるシロアリを、自然界で捕獲すべく出かけるわけであります。シロアリを国内外の森や草原などで探索して「見つける」ことは、シロアリがどのような場所を好んで生息しているのかを肌で感じる格好のチャンスです。シロアリを探しにフィールドに入ると、シロアリ以外の色々な生物に出会います。例えば日本の温帯林ではシカ・イノシシ・サルなどに容易に出会うことができます。シロアリの種類も量も豊富なオーストラリアの林や森林では、ワラビー・カンガルーといった大型の哺乳類や、日本ではペットショップでしかお目にかかれないインコ・オウム類にも普通に出会います。もっと小さな動物としては、カメ・ヘビなどの爬虫類やトカゲ・カエルなどの両生類にも出会います。朽ち木を見ながら動物の存在を見つつも、食材 6さ・色味・水分量・臭いといった性のシロアリを探すときには、常に朽ち木の美味しさをチェックしていきます。朽ち木の状態は外見からでは分からない事も多く、大抵の場合、木を触りながら確認していきます。同じ樹種で同じような外見の朽ち木でも、腐朽の度合いや腐朽菌の違いによって、「朽ちかた」には個性があるためです。朽ち木の固項目について、五感を駆使して感じ取り、シロアリにとって美味しそうか不味そうかを判断しながら探索するのです。美味しそうな朽ち木を見つければ、朽ち木を深く割って、そこにシロアリがいないかどうかを探します。もちろん朽ち木は、甲虫の幼虫(たとえばカブトムシやカミキリムシの幼虫)のすみかでもあり、越冬する昆虫(たとえばスズメバチの越冬女王など)の隠れ家でもあります。朽ち木内の隙間に巨大ナメクジ(図1(a))やヤモリ(図1(b))が、普段家では会いたくないムカデですが、住処を脅かしてしまったことを申し訳ないと感じる場熊本高等専門学校生物化学システム工学科 木原 久美子第3回agreeable No.52 October 2019/10図1 朽ち木探索で出会った生物。(a)巨大なナメクジ(北米)、(b)ヤモリの一種(豪州)、(c)ムカデの一種(韓国)(b)(c)(a)〜朽木探索で出会う動物〜
元のページ ../index.html#8