シロアリ探しでわかる7agreeable No.52 October 2019/10合(図1(c):子持ちのムカデ)もあります。朽ち木の周りでは落ち葉にまぎれてカニ(図2)などの甲殻類がいることもあります。時には朽ち木の中に、サンショウウオ(図3)が潜んでいることもあります。また、初夏など時期と場所によっては、シロアリにとって美味しそうにみえる朽ち木のどれを割っても、クロアリがうじゃうじゃと集団で出てきてしまう時もあります。シロアリが作った坑道が、クロアリなどの他の生物によく利用されていることを実感します。Gの仲間たちシロアリは、巷でGというニックネームで呼ばれているゴキブリと、仲間であるとは聞いた事があることでしょう。それを思うと、フィールドではシロアリを探せばゴキブリも見つかるような気がします。実際、シロアリが好きそうな朽ち木の周辺にはゴキブリも生息しており、地域によってその種類が異なります(図4)。シロアリと同じ木に棲んでいる種類も居れば、シロアリが生息していない場所に棲んでいる種類も居るようです。ゴキブリを住処から取り出すと、ごそごそと隙間に潜って、あっという間に隠れようとします。まるで恥ずかしがっているかのようなその行動に、体の色や大きさとのギャップを感じ、Gというニックネームが持つ嫌悪感とはほど遠い感情が湧いてきます。初めて出向くフィールドで と言えば、腐朽に関係する菌やは、こういった動物の存在や行動や鳴き声は、シロアリがどのような環境に住んでいるのかを理解するためのひとつの指標となります。五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚と、おそらく時に重要なのは第六感?!)を駆使しながらシロアリを探し、さらに、環境中の動物の存在を確認します。シロアリが棲む環境植物ばかりに目が行きがちです。しかし、こういった目的外の生物、昆虫以外の動物の存在も感じてみることが、シロアリが好む環境を理解する事に繋がるようにも思えます。(a)(b)(a)(a)(c)図2 (b)のサワガニが(a)に隠れています。さてどこにいるでしょうか。(屋久島で撮影)図3 (b)のサンショウウオが(a)に隠れています。さてどこにいるでしょうか。(北米で撮影)図4 シロアリが好みそうな朽ち木探索をしていると出会えたゴキブリたち。(a)クチキゴキブリ(沖縄県)、(b)オオゴキブリ(鹿児島県)、(c)キゴキブリ(韓国や北米)、(d)アミメヒラタゴキブリ(沖縄県)(b)(b)(d)
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