土壌処理剤予防駆除剤(2010年10月)は106製剤先般、本誌上でシロアリ防除薬剤の製剤について解説をさせていただきましたが、引き続き企画継続の機会をいただきましたので、シロアリ防除薬剤に関連する話題をお届けしたいと思います。今回は、シロアリ防除薬剤 認定薬剤の動向についてです。土壌処理剤として、日本しろあり対策協会では、現在80製剤が認定されています。約10年前の認定がありましたので減少傾向にあります1。土壌処理剤の防蟻剤は、ここれ以前主流であった有機リン系防蟻剤の認定薬剤がなくなりました。現在、ピレスロイド系、非エステルピレスロイド系防蟻剤が最も多く30製剤となっています。10年前は認定薬剤の50%以上を占めましたが、現在は38%となっています。次いで、非忌避性薬剤のネオニコチノイド系防蟻剤が増加し、28製剤と35%を占めます。ネオニコチノイド系防腐剤と比較し、遅効性である非忌避性のフィプロニルなどのフェニルピラゾール系防蟻剤13製剤、クロルフェナピルなどフェニルピロール系薬剤3製剤が認定されています。また、カーバメイト系防蟻剤のフェノブカルブ製剤は3製剤あります。天然物系は白花虫除菊に含まれるピレトリンが唯一の認定製剤です。2018年に土壌処理剤の試験方法が改訂され日本木材保存協会規格JWPAS–TS-(1)(2018)「土壌処理用防蟻剤等の性能基準及びその試験方法」*1が制定されました。それ以前は、シロアリの薬剤処理土壌中の穿孔距離で評価されていました。非忌避性・遅効性防蟻剤は穿孔距離が長くなり、試験規格を満たさない場合があり、速効性の防蟻剤を添加し合剤とするなど、穿孔距離を抑える工夫をした製剤も見られました。しかし、試験法改訂により、 8 する力を失えば効力有りと判定薬剤処理土壌をシロアリが貫通しても、シロアリが木材を食害される試験法となりました。これにより非忌避性、遅効性薬剤を適切に評価する事が可能となり、非忌避性・遅効性防蟻成分のみで構成される製剤も増えてきました。予防駆除剤は防腐・防蟻剤を含む製剤で、木材腐朽菌による木部の劣化、シロアリによる食害を予防および駆除を目的として使用される薬剤です*2。日本K1571:産業規格JIS 2010で定められた試験方法及び性能基準により、木材腐朽菌であるオオウズラタケ及びカワラタケに対する防腐性能、イエシロアリに対する防蟻性能を満たしたものが、予防駆除剤として認められます。予防駆除剤は、現在76製剤が認定されています(2020年3月時点)。認定取下げや、新規製剤や、同一製剤を共同申請することが減り、10年前(2010年10月時点)の96製剤1から減少傾向にあります。予防駆除剤の防蟻剤はピレスロイドおよび非エステルピレスロイド系防蟻剤が41製剤で全体の54%を占めます。次いでネオニコチノイド系防蟻剤が28製剤で37%を占めるようになりました。10年前はピレスロイドおよび非エステルピレスロイド系防蟻剤が70%以上を占め、ネオニコチノイド系防蟻剤が25%でしたので、ネオニコチノイド系防蟻剤の比率が上昇しています。フェニルピラゾール系防蟻剤のピリプロール製剤が4製剤、また新規作用機作を持つメタジアミド系防蟻剤のブロフラニリド製剤が2製剤登録されています。(表1)木部を保護する為の予防駆除剤として、非忌避性と防蟻効果発現までの速効性のバランスは、重要な要素です。この点において、遅効性防蟻成分が予防駆除剤での使用比率が低い要因の一つとも考えられます。また、海外においては予防駆除剤に該当する木部表面処理剤がありません。加えて、土壌処理剤と比較すると予防駆除剤は薬剤市場が小さく、開発費用に応じたリターンが小さい現状が住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社 馬場 庸介agreeable No.54 April 2020/420年で大きく変化しました。そシロアリ防除薬剤について第5回認定薬剤の動向
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