◎はじめに◎乾材シロアリの特徴は◎ダイコクシロアリによる建物被害乾材シロアリであるダイコクシロアリは、奄美大島以南と小笠原諸島に分布しており、沖縄県にも多く生息しています。沖縄県は黒潮が流れる暖かい海に囲まれており、海洋の影響を強く受けるため、気候区分は亜熱帯海洋性気候に属し、高温・多湿であることが特徴です。また他県と比べても気温差が小さく、年間を通して温暖な気候です。この沖縄に生息するダイコクシロアリの防除工事をする現場が、沖縄県沖縄市(コザ市と美里村が合併)にあるということで、立会をさせてもらいました。食害を受けた建物は、軒は低く、屋根は重量のある葺き土を使い、牝瓦と牡瓦を重ねあわせて漆喰で塗り固める沖縄独特の建物でした。※1 国内における乾材シロアリの被害は、ダイコクシロアリとアメリカカンザイシロアリに因るものが主です。乾材シロアリの特徴は、土との関連は全く持たず、また蟻道や巣を特別に加工する能力もないそうです。糞を表面に開けた小さな孔から外部に落としますが、この糞で初めて加害に気づくことになります。移動や分散は、直接接した材への加害の拡大や有翅虫の群飛により近隣へ分散します。シロアリは、材内部に深く穿孔し、数頭の個体からでもコロニーを再生するため、一度の処理で外部から完全に駆除することは難しいようです。※2 ダイコクシロアリは、乾燥した木材中へ穿孔・営巣し、自由水が存在しない木材も餌として生活できます。摂食に最適な相対湿度は70〜80%付近だそうです。沖縄県地方は、温暖な気候と年平均気温が23度以上あり、四方を海に囲まれていることで湿度も高く、生息しやすい環境だと思われます。ダイコクシロアリの侵入経路で注意したいのが、屋外から持ち込んだ梱包材や家具です。少数の職蟻からすぐにコロニーが形成されてるため、被害場所を特定するのが非常に困難なことでも知られています。そのため防除も難しく、加害性も高いため、恐れられているシロアリの一種だと言えると思います。加害痕は非常にきれいで、木部の表面も滑らかですべすべしております。とてもきれい好きなのか、侵入路からそれぞれ糞を排出しているため、加害された木部個所の周りには、粒状の糞が積みあがっていくかのように溜まっています。防除施工の現場では、小屋組、通し柱、事務局 秋山 仁志 20agreeable No.54 April 2020/4※3 ダイコクシロアリの形態的区別点体 長体 色翅 長翅 色翅 脈 5〜6mm黄褐色6〜7mm無色・半透明径文脈が分枝し、中脈が中央付近で前に曲がり径文脈と融合3.5〜5.5mm前面が裁断状、体調の1/4の長さ、黒褐色出さないなし左大顎の緑歯が2本で、右大顎に副歯がなく、左大顎の第3緑歯の前縁が後縁に比べると長く斜め後方に突出する有翅虫体 長頭部の形態 兵 蟻粘 液攻 撃 性大あごの形態職 蟻ダイコクシロアリの糞食いつぶされた柱ダイコクシロアリと防除施工〜しろあり防除施工業業者の仕事をとおして〜
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