ウイルスってなんだっけウイルスは生き物を選ばないの? l ID- 6; irus Deseses , 2019年12月に発生した、コロナウイルスによって引き起こされる「新型コロナウイルス感染症(COV読み方はコービッドナインティーン,)」が、日本のみならず広く世界中で重大な問題となっています。そのいわゆる「ウイルス」をイメージで例えて言うなら、「ガ19(DNAやRNA)で、自分自身のチャガチャのカプセル」とでもいうところでしょうか。ただし大きさは、乳酸菌とか納豆菌といったバクテリアよりも、とてもとても小さいものです。カプセルの中には1本の紐だけが入っています。この紐は設計図カプセルと紐の作り方が書かれています。ウイルスの目的は、自分のコピーをひたすらいっぱい増やす事なのですが、自分ひとりでは増殖することができません。だって、ただのカプセルですから…。そこで、ほかの生き物を利用するのです。一般に生き物は、それぞれの設計図を持っていて、その設計図に応じて、細胞が生きていくために必要な物(細胞膜とかタンパク質とか…)を常に生産しています。もし、その生き物の設計図に、ウイルス自身の設計図を紛れさせたらどうなるでしょう。その生き物はウイルスの設計図だと気付かぬまま、その内容に従って、ウイルス専用のカプセルと紐を生産するはずです。そこでウイルスは、なんとかして他の生き物の細胞にくっつき、カプセルを開いて紐=設計図を細胞に注入し、自分自身をコピーするために必要な部品であるカプセルと紐を、自分ではない別の生物に作らせようとするわけです。うまくいった場合には、ひとつの細胞から1000個ものウイルスが量産されるそうです。自分は何もしないのに、別の生き物のおかげで目的を達成するウイルス!単なるカプセルなので、ただの物体に思えますが、その振る舞いはまるで生き物のようですね。ウイルスはカプセルの形状で生き物の細胞にくっつくと聞くと、生き物がどんどんウイルスにやられてしまいそうな気がしてきます。でも、生き物の方も、生存に必要のない危険な事柄から自身を防御する仕組みを持っています。ですから、ウイルスがカプセルを細胞にくっつけたり、紐を細胞に侵入させたりするのも、なかなか大変な事なのです。さらにウイルスには、ある生き物に侵入しやすいが、ある生き物には侵入できないといった特異性が存在します。例えばインフルエンザウイルスやノロウイルスはヒトにも動物にも感染しますし、農作物にモザイク病を起こす各種のモザイクウイルスは植物とアブラムシにも感染します。その一方で、モザイクウイルスがヒトに感染したり、植物がインフルエンザウイルスに感染したりするなどの事例は今まで知られていません。このように、ウイルスがターゲットとする生き物が限定されることを、ウイルスには宿主特異性が存在すると言います。2019Coonav第5回agreeable No.54 April 2020/4〜シロアリもウイルスと無関係ではいられない〜熊本高等専門学校生物化学システム工学科 木原 久美子
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