木材の腐朽・木材腐朽菌の種類・ 褐色腐朽菌(かっしょくふきゅうきん)・ 白色腐朽菌(はくしょくふきゅうきん) 8① 木材上に腐朽菌の胞子が飛来。② 適した温度で、適当な水分が(酸・アルカリ等)に分けられま(空気)、水分、温度の適した条木材の劣化は、その原因により、光(紫外線)劣化、熱劣化、オゾン劣化、放射線劣化、機械的劣化、生物劣化、化学劣化す。そのうち、シロアリや木材腐朽菌など生き物により引き起こされる木材の劣化を生物劣化と言います。予防駆除剤は、シロアリだけではなく、この木材腐朽菌による生物劣化を防ぐ薬剤です。今回は予防駆除剤に関連して、木材の腐朽、腐朽菌、予防駆除剤の防腐性能評価について取上げます。自然界には多くの木材腐朽菌が存在し、空気中にその胞子が浮遊しています。木材腐朽菌の生育には、栄養(木材)、酸素件が必要で、1つでも欠けると、腐朽は生じません。しかし、胞子が木材に付着し生育条件が整うと、植物の種が発芽し根を伸ばすように、腐朽菌の胞子は発芽し菌糸を伸ばし、木材中に侵入します。木材の腐朽現象を順に見ると、次のようになります。存在すると、胞子が発芽し、菌糸を伸長する。③ 腐朽菌の菌糸は、木材中の糖④ さらに菌糸から分泌する酵素⑤ この結果、木材組織が破壊さやデンプン、アミノ酸などを栄養源にして生長する。等によって、木材成分であるセルロースやヘミセルロース、リグニン(菌の種類による)を化学的に分解し、分解物を栄養としさらに生長を続ける。れ、木材の強度低下が生じる。木材腐朽菌は木材を分解し、菌自身の栄養源として利用します。木材は組織構造を破壊される事で損傷し、強度低下を引き起こし、いわゆる腐れが生じ、この現象を腐朽と呼びます。木造住宅などにおいても構造材に腐朽が生じます。特に、壁の内側や土台など湿気が溜まりやすい場所で腐朽が生じ、建物が持つ耐久力を低下させる懸念があります。腐朽を引き起こす微生物の多くは担子菌類でいわゆるキノコの仲間です。この他に、カビの仲間である子のう菌類や細菌類(バクテリア)により生じる腐朽もあります。腐朽を引き起こす微生物の種類により、腐朽した木材の状態が異なります。腐朽後に、木材を褐色に変色させるものを褐色腐朽菌、木材を白く変色させるものを白色腐朽菌、木材に軟化現象を起こすものを軟腐朽菌といいます。各腐朽菌の特徴は以下の通りです。筆者の勝手なイメージですが、栄養の少ないリグニンを避け、スマートに栄養分を取り込む褐色腐朽菌、好き嫌いせず愚直にリグニンも分解する白色腐朽菌、氷上ワカサギ釣りのように、細胞壁に孔を空けて、中の栄養分を分解吸収する職人ぽい軟腐朽菌。それぞれの菌で特徴があります。筆者は学生時代、白色腐朽菌がどのように木材を分解するかを研究していましたので、愚直な白色腐朽菌に少し思い入れがあります。オオウズラタケ、ナミダタケ及びイドタケなどがあります。褐色腐朽菌は木材細胞壁を構成するセルロースとヘミセルロースを主に分解し、茶色のリグニンが残ることで、腐朽材が褐色となります。このことから褐色腐朽菌と呼ばれます。腐朽材は、縦横の亀裂が生じます。針葉樹材をよく用いる住宅構造材で被害が多く見られ、腐朽初期から強度低下を引き起こすことが知られており、特に注意が必要な菌です。広葉樹材によく発生し、カワラタケや、食用されるシイタケ、エノキタケなど身近なキノコも含まれます。木材細胞壁中のセルロース、ヘミセルロースに加え、リグニンも分解します。リグニンが分解された後に残るセルロース、ヘミセルロースの色により腐朽部は白色を呈します。自然界における難分解性物質のリグニンを分解する白色腐朽菌の能力を利用し、ダイオキシン類などの難分解性化合物の分解や汚染土壌などの修復、紙の原料であるパルプ漂白の省エネルギー化に利用する研究も行われた事があります。住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社 馬場 庸介agreeable No.55 July 2020/7写真2 床下に発生した禍々しいナミダタケ写真1 絶妙な色合いのカワラタケシロアリ防除薬剤について第6回木材の腐朽、予防駆除剤の防腐性能試験
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