3agreeable No.55 July 2020/7 Nan-Yao Su／バイエルクロップサイエンス株式会社 大嶽 譲治Distinguished Professor of EntomologyDepartment of Entomology＆Nematology アメリカで発見された48種のシロアリのうち、６種は深刻な被害をもたらす害虫と考えられています。そのうちの２種、Cryptotermes brevisとIncisitermes minor（アメリカカンザイシロアリ）は乾材シロアリ（以下、便宜的にカンザイシロアリ）で、残りのReticulitermes flavipes、R.hesperus、Coptotermes formosanus（イエシロアリ）、C.gestroidの４種は地下シロアリです。このほかにHeterotermes aureusという地下シロアリも深刻な被害をもたらしますが、分布がアメリカ南部の乾燥地域と限定的なため、前述の６種ほど重要度は高くありません。これらのシロアリがアメリカの経済に及ぼす１年間の影響は、2010年で200億米ドルと試算されており、そのうちの約80％が地下シロアリによるものです。 カンザイシロアリと地下シロアリの駆除の方法は大きく異なり、実用的な観点から見ますと、駆除を正しく行うための最初の手順は、被害を及ぼしている種が、この２つのグループのどちらかを見分けることです。一般的に、カンザイシロアリの場合、兵隊アリの前胸背板（頭部のすぐ後ろの部位）の幅が写真１ カンザイシロアリの兵隊アリ写真２ 地下シロアリの兵隊アリ頭部の幅と同じか、それよりも大きいです（写真１）。地下シロアリの場合、兵隊アリの前胸背板は頭部の幅よりも小さくなっています（写真２）。 また、この２グループでは有翅虫の羽も異なります。カンザイシロアリの羽は、前縁部の近くに硬化がかなり進行した翅脈が４つ以上あり（写真３）、地下シロアリの有翅型の羽は、前縁部の近くに硬化した翅脈が２つしかありません（写真４）。Nan-Yao Su第11回世界のシロアリについて─米国編 ─アメリカのシロアリたち①
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