agreeable 第55号(令和2年7月号)
6/23

耐久設計の基本方針耐久処理の適用区分の変更    4(1) 建築物に作用する各種劣化(2) 建築物各部を水分や湿分の建築物の耐久設計は、建築物などの安全性や居住性その他の性能を一定の水準以上の状態で、継続して維持させることができるようにすることが目的になっています。設計の目標となる耐用年数は、建築物を取り巻く様々な要因によって異なってきますが、省資源、省エネルギー、地球温暖化防止などの社会的な要請に応えることも大切です。そこで、耐久設計の基本方針を次のように定めています。要因の種類と程度を推定し、その建築物の目標とする耐用(供用)年数が十分確保できるよう設計する。浸入や滞留が起らないように、日照、通風、換気、防水、雨仕舞、防湿など十分注意して設計する。(3) 耐久処理が適切に行えるように、耐久処理の対象とする部位を明確にして設計する。(4) 維持管理、点検のため、区分された床下空間及び小屋裏空間(人通口等により接続されている場合は、ひとつの空間とみなす。)ごとに点検口を設ける。昭和61年版(以下旧版とする。)が規定する(1)、(2)項に加えて、新版では(3)及び(4)項を追記し、木材や木質材料に耐久処理を行うに際して、腐朽や蟻害を受けやすい部位、受けやすい部材を明確化するとともに、効率的な床下等の点検、維持管理が行えるように床下空間の実効高さや点検口、人通口の設置を求めることになりました。腐朽菌やシロアリの活動は自然環境の影響を受けることから、木造建築物の建設地に応じて、防腐、防蟻処理に関して木材処理及び土壌処理の方法を建設地別の適用区分表を定めています。表1が今回改訂された新版のもので、表2が旧版です。旧版では、建設地のある都道府県を4区分し、その建設地区分毎に木材処理について、加圧注入処理材を用いるか、建築現場における塗布又は吹付による防腐・防蟻処理を規定し、加圧注入処理材については適用するJAS及びJIS規格を定めてその耐久性能を示しています。土壌処理すなわち防蟻処理についても区分ごとの適用を記載しています。Ⅰの地域ではイエシロアリの被害地域が含まれ、Ⅳの地域ではシロアリの生息していない地域が含まれています。また、Ⅳの地域の一部を除き、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの地域ではヤマトシロアリの第2回元大阪市立大学 土井 正agreeable No.55 July 2020/7表1 新版の建設地別適用区分「木造建築物等防腐・防蟻・防虫処理技術指針・同解説」について建築基準法、品確法等を超える耐久設計に

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る