agreeable 第55号(令和2年7月号)
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防腐・防蟻処理の適用範囲は基礎天端から1mへ5agreeable No.55 July 2020/7被害があるとみてよいとされ、その地域では土壌処理を行うとの前提ですが、Ⅳ及びⅢ区分においては必要に応じてとか必ずしも土壌の防蟻措置が推奨されていません。これらの地域区分は昭和54年木造建築物防腐・防虫処理技術指針要綱において初めてその概念図が示され、住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の地域の建築物は地盤から侵入するシロアリに対する漸弱性を内在しているといえます。なお、土壌処理については、防蟻薬剤を散布する土壌処理と同等の効果を持つと認められる工法も適用を認めています。省エネルギー基準が強化され、基礎断熱工法が各地で普及するようになり、暖房負荷の大の木造住宅工事共通仕様書に参考図として掲載されました。これらの地域区分は現在でも継承され、品確法の住宅性能基準にも準拠されています。新潟を含む北陸4県及び東北以北の7道県においては、床下地面の防蟻措置が不要なものになっています。そのため、こ   きな北陸、東北以北の地域では、引き続き基礎断熱工法の増加が予想されています。一方、一部の断熱素材を除いて、発泡プラスチック系断熱材はシロアリに穿孔、食害されやすいことから、基礎外断熱施工住宅のシロアリ被害が目立つようになってきています。いったん高断熱住宅にヤマトシロアリが侵入した場合、自然環境下では活動を行わない秋季から春季の寒冷期間においても、活動可能な温度環境となっており、建物被害が拡大することが懸念されます。そこで、表1に示す新版の適用区分表では、北海道の一部、ヤマトシロアリの非生息地域を除いて日本全国で原則、土壌の防蟻処理を行なうものと推奨し、木材の防腐・防蟻処理については、加圧注入処理材の製造、流通実態なども考慮して、地域区分することなく全国一律の性能としています。但し、加圧注入処理材といっても木材のすべてに薬剤が浸透しているものではないため、建築現場等で継手や仕口の加工などを行って新たに生じた切断面に対しては、塗布や吹付により表面処理を行うことが大切です。旧版技術指針は建築基準法施行令第49条の防腐、防蟻処置を具体化したものであるため、その適用範囲は第1回目に解説されているように、木材処理は令第49条が定める地盤面上1m以内とされています。新版では最近の被害実態調査の結果を反映させ、基礎天端から1m以内の木部を防腐・防蟻の処理範囲とするようにしました。表2 旧版の建設地別適用区分

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