3agreeable No.57 January 2021/1 Nan-Yao Su／バイエルクロップサイエンス株式会社 大嶽 譲治Distinguished Professor of EntomologyDepartment of Entomology＆Nematology アメリカにおける地下シロアリの駆除や被害の補修にかかる費用として試算された額は16億ドルで、この原因の大半を占めるのが、東部に生息する東部地下シロアリ（Reticulitermes flavipes）、西部に生息する西部地下シロアリ（Reticulitermes hesperus）、そして南東部に生息するイエシロアリ（Coptotermes formosanus）の３種です。Heterotermes aureusもかなりの被害をもたらしますが、アメリカ南西部の乾燥地帯でしかみられません。また、近年アメリカでも確認されるようになったのが熱帯種のアジア地下シロアリ（Coptotermes gestroi）です。1990年代にフロリダ州マイアミで報告されて以降、分布地域は着実に北上しています。Coptotermes属の２種は侵略的外来種であり、被害の深刻さや分布範囲の広さから、世図１ 地下シロアリの餌取り用の蟻道図２ Coptotermes属の羽の微細毛界で最も重大な経済的影響をもたらすシロアリと考えられています。地下シロアリは地中に巨大なコロニーを形成し、餌取り用の蟻道を通って建物に入ります（図１）。この蟻道は、シロアリの侵入を示すサインです。もうひとつの地下シロアリの侵入を示すサインとして、群飛の時期にみられる有翅虫の集団飛行があります。Coptotermes属の有翅虫の羽には微細毛が生えていますが、Reticulitermes属の有翅虫の羽にはそのような毛はみられません（図３）。Coptotermes属の１つのコロニーの中で、兵蟻の割合は15〜20％で、この兵蟻の頭部は楕円形をしています（図４、左）。Reticulitermes属の兵蟻の頭部は長第13回世界のシロアリについて─米国編 ─アメリカのシロアリたち③
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