agreeable 第57号(令和3年1月号)
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浴室及び脱衣室、台所その他の水を使用する箇所5agreeable No.57 January 2021/1適切な施工に留意するとともに、窓枠材には耐腐朽性の高い樹種を用いるとともに、防水テープを正しく貼るなど、窓まわりの雨水浸入対策を的確に行うことが重要です。わが国では浴槽に体を沈める入浴スタイルのため湯水の使用量が多く、また、湯水の飛沫が飛び散る範囲が広く、床には大量の水が流れることになります。そのため、タイルを含む壁の亀裂や、目地の亀裂、建具類との隙間などから浴室周りの壁、床に漏水が生じやすくなります。漏水を放置すると常に湿潤となり、好適な温湿度が維持されて、腐朽菌やシロアリにとって住み易い環境となります。時には、浴室のコンクリート床下にイエシロアリの営巣が見られたりします。そのため、浴室の床、壁、天井は十分な防水措置を行うとともに、それらの下地材への防腐・防蟻処理が不可欠です。防水性能が優れた浴室ユニットの場合は、下地材の防腐・防蟻処理は不要となります。一方、浴室をユニットとしない場合は、浴室周囲の壁は外壁よりも水に打たれる回数が多く、傷み易い箇所であるため、浴室を構成する柱、間柱、筋かい(構造用合板などの耐力面材も含む)及び下地板を処理する必要があります。処理する範囲は水掛かり部分より下と考えられますが、シャワーの位置や天井面結露などを考慮して、天井面より下の部分とします。とりわけ入念に処理       する部分は脱衣室に通ずる出入口扉まわりで、木製枠は勿論のこと、アルミサッシ枠でも湿気が裏面に回り、結露して木材を腐らせるので処理が必要です。浴室内の湿気が天井裏に抜けると天井裏が湿って腐朽、蟻害の原因となるばかりでなく、1階管柱や筋かい柱頭部、2階管柱、筋かい柱脚部の接合金物を腐食させて耐震性能なども低下させることになるので、この点でも浴室周りの処理は慎重に行う必要があります。また、浴室床は排水のための有効な水捌け勾配をとり、排水口は水分の滞留のない十分な大きさとし、浴室出入り口からの溢水を防止します。この他、浴室内の湿気の排出のためには、天井直下のガラリ付窓など自然換気もありますが、機械換気を採用することが有効です。脱衣室についても、湿気、水掛かりの状況はほぼ同様のため、床、壁は浴室と同等の防水措置を天井部分には防湿措置を行うとともに、脱衣室まわりの下地材には、浴室と同様の防腐・防蟻措置を施すこととします。浴室を上階に設置する場合、階上での漏水は、腐朽菌やイエシロアリはもとより、ヤマトシロアリでも漏水箇所より下の部分を食害することが可能になるため、2階の床梁、間仕切壁内等にも被害が及ぶことになります。そのため、上階に浴室を設置する場合は、浴室ユニットとするとともに、湿気の漏気や排水管周りからの漏水事故が起こることを前提に、床面に有効な防水措置が必要です。さらに、早期の故障の発見あるいは点検のためにも、浴室直下の天井部分には点検口を設けるのが望ましいといえます。この他、壁面に取り付けられる洗面器具や蛇口まわりからの漏水防止のための水密処理、壁内部や室内側の給排水管などの結露予防のための保温養生も耐久設計上のポイントです。軽微な漏水では発見しにくいことから、軽微な漏水でも長時間にわたると大きな被害に発展することになります。そのため、水回り部分の軸組、床組の下地材についても、防腐・防蟻措置が必要です。図1 外壁通気工法の施工例2019年度版フラット35対応木造住宅工事仕様書参考図8.4.1外壁に通気層を設け壁体内通気を可能とする構造、P205より

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