agreeable 第59号(令和3年7月号)
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AQ保存処理製品を使う       するために、適切な乾燥操作やインサイジング処理を施すなどして所定の品質を確保するようになっています。この処理では、JISK1570:2013「木材保存剤」に登載されているものを使用しなければなりません。JISK1571:2010に基づいて保存協会で注入処理用木材保存剤として認定を受けた後、ある程度の使用実績とともに所定の手続きを経た薬剤が登載されています。加圧注入処理された製材は、製材の日本農林規格(以下、JAS)においてK1〜K5まで性能が5区分されています。JASでは保存処理区分ごとの木材の使用環境や用途までは規定されていませんが、その目安は表1のようになっています。K1〜K5は薬剤が材内部にどれだけ浸透しているかを表す浸潤度と薬剤の吸収量によって決定され、それらの値は薬剤の種類ごとに決められています。K1は乾材害虫用なので、防腐・防蟻性能を要する部材には使えません。K2〜K5が防腐・防蟻性能を要求される部材に適用されます。K2は、北海道・東北など比較的寒冷な地域で使うことができるようになっていました。土壌に木杭を突きさして定期的に腐朽程度を調べる杭試験などで、寒冷地の腐朽進行が遅いということなどが知られていたからです。しかしながら、建築物の腐朽を考えた場合、空中に浮遊している菌が木材上に落下してそこの発芽条件が整うと腐朽が始まるわけで、建築物内の温度が特に低いわけもないのですから今までの規定自体が不合理でありました。本指針ではK3処理材を使うように是正しました。集成材、単板積層材(LVL)および合板のそれぞれのJASでも処理材料の品質が規定されています。ただし、製材とは異なりK3の基準しか設定されていません。また適用可能な薬剤と浸潤度基準が表2のように決められていて、使用できる薬剤の種類は多くはありません。また、製品処理か要素(合板とLVLでは単板、集成材ではラミナ)処理かによっても使える薬剤が異なっています。JASのK2〜K4処理材と同等の性能とされているものに、(公財)日本住宅・木材技術センターの優良木質建材等認証11agreeable No.59 July 2021/7表1 製材のJASにおける保存処理木材の性能区分ごとの使用状態の目安性能区分K1屋内の乾燥した条件で腐朽・蟻害の恐れがない、乾材害虫に対して防虫性能のみを必要とする状態低温で腐朽や蟻害の恐れが少ない条件で高度の耐久性を期待通常の腐朽や蟻害の恐れがある条件で高度の耐久性を期待通常より激しい腐朽や蟻害の恐れがある条件で高度の耐久性を期待極度に腐朽や蟻害の恐れがある環境下で高度の耐久性を期待K2K3K4K5保存処理木材の使用状態広葉樹の床板など、ヒラタキクイムシを対象比較的寒冷な地域で使用する建築部材住宅の土台など屋外で風雨に直接暴露されるか、あるいは腐朽や蟻害が激しい場所で使用する部材など電柱、枕木、海中で使用する部材など具体例

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