加工後の無処理部分は必ず表面処理適切な廃材処理を行う(Approved Quality、以下、AQ) 保存処理製品があります。AQは、JASに規定されていない方法で保存処理された製材や木質材料について、JAS製品と同等の品質・性能があることを第三者機関として客観的に評価し認証する制度です。JASとAQの保存処理区分の対応は、AQ1種はK4相当、AQ2種はK3相当、そしてAQ3種はK2相当となっています。適用されている処理方法には、乾式処理、深浸潤処理および接着剤混入処理があります。JAS製品の代わりに、これらのAQ製品を適切に選択して使うことができます。乾式処理は、低沸点の溶媒に溶解した薬剤を加圧注入しその後減圧して材中の溶媒を回収する処理法であり、材料の膨潤・収縮がほとんどなく狂いも小さい利点があります。養生中に溶媒の揮散と木材内部への浸透がバランスよく行われ、養生完了後の材面はべとつかず、異常な臭気も有害なVOCも発生しない保存処理木材が得られます。深浸潤処理は、高浸透性薬剤(非極性)を用いて適切なインサイジング、適切な薬剤付着量及び養生を組み合わせることによって、乾燥材(KD製材、集成材など)を対象に行われます。深浸潤処理によって製造されたAQ2種の製材や集成材の浸潤度基準には、加圧注入処理と同一の基準が適用されます。吸収量は薬剤ごとに規定されています。接着剤混入処理は、ロータリーレースで丸太から単板を作るときにできる裏割れを利用して、接着剤で接着する工程であらかじめ混入しておいた防腐・防蟻剤を単板の内部まで浸透させる方法です。この方法で製造されたAQ2種のLVLおよび合板などでは、薬剤の種類ごとに吸収量の基準が規定されています。この他、JAS製品同様の水系薬剤を加圧注入前にあらかじめ加工を施した製材品に加圧注入した高耐久機械プレカット部材も認証されています。加圧処理された木材・木質材料でも、図2に示すように内部には無処理部分がありますので、切断あるいは切削加工などによって無処理部分が露出した場合には、必ず表面処理用木材保存剤で塗布・吹付処理を行わねばなりません。特に木口部分は水を吸いやすい部分でもあり、一度塗布してから溶剤が揮発した後に再度塗布するというように、念入りに処理することが重要です。以上の加圧注入処理材などに使われている木材保存剤には、有害な重金属は含まれていません。また保存協会で加圧注入用木材保存剤を認定する際には、薬剤の安全性や処理木材の廃棄等についても審査されています。切断、切削、穿孔などによって生じた廃材は法的に特別な取り扱いをする必要がなく通常の木材と同様の廃棄が可能ですが、廃材を家畜敷料に使うことは避けなければなりません。12agreeable No.59 July 2021/7図2 加圧注入したベイツガ土台材内部の薬剤の浸潤状態
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